少しでもファンと球団に喜んでほしい。楽天梨田昌孝監督(62)が、おもてなしの心を約30秒のメッセージに吹き込んだ。球団事務所が年末休業となる12月26日から来年1月4日の間、球団の電話音声ガイダンスを担当することが決まった。期間中、代表番号に電話をかけると、梨田監督の温かい声が聞こえてくる。

 「お電話、ありがとうございます。楽天イーグルス監督、梨田昌孝です」「2016年が、みなさまにとってよい年になりますように」

 グラウンドの外でも何かできないかという思いが球団初の試みを生んだ。新人選手の入団発表会が行われた1日。梨田監督は終了後に事務所を訪れ、各部署を丁寧に1つずつ回り、職員約100人と懇親の場をもった。球団職員は「忙しい中でも、全部の部署を回ってくださった」と、温かい姿を思い出す。その中でコールセンター担当部署を訪問した際に、音声ガイダンスの話が浮上した。「ただ音声を流すだけでなく、監督の声が流れれば電話をかけた方が喜んでくれるのでは」。双方の思いが一致し、翌週9日にさっそく録音。真心を込めてメッセージを読み上げた。

 チームに初合流した10月から「みなさんに、近い存在だと感じていただきたい」と願い続けてきた。全ては来季から指揮を執る楽天と、応援してくれるファンのために。ユニホームを着ていなくても、梨田流で周囲を喜ばせていく。【松本岳志】