申(さる)顔負けの腕っ節だ。ロッテのドラフト1位、平沢大河内野手(18=仙台育英)が7日、宮城県多賀城の同校グラウンドで自主トレを公開した。キャッチボール、ティー打撃などを行った後、最後は室内練習場の天井からつるされたロープを両腕で登り切った。明日9日に入寮。11日には新人合同自主トレが始まる。プロの第1歩へ、準備はできている。

 ブランクを感じさせなかった。自主トレを、仙台育英の名物練習でしめた。平沢は両手でがっちりロープをつかむと、足を使わずに、スルスルと約7メートルの高さまで登り切った。今年の干支(えと)のような、あっぱれな身のこなしだった。「2週間、登ってないので、きつい感じがしました」と苦笑いしたが、そうは見えない力強さがあった。

 ロープ登りの効果は、腕力だけじゃない。指先から体幹まで、体全体の力が求められる。多い時は、1日10本をこなしたという。甲子園、U-18日本代表で活躍できたパワーの源をのぞかせた。「あるなら、プロでもやりたい」と望んだ。伝え聞いたロッテの楠トレーニングコーチは「良い練習です」と肯定。“平沢ロープ”導入に前向きだ。

 体の強さは、ボールを使った練習にも見えた。室内では、ティー打撃も実施。大学で野球を続ける同級生がトスする球を振った。約50球。久しぶりにまとまった数を打ち「きつい~」と連発したが、底冷えする室内で乾いた音を響かせた。「思ったよりも振れました」と、納得できた。

 夏の甲子園後、仙台育英・佐々木監督の「太れ」指令を受けた。5キロアップに成功し、目標だった80キロに達した。心の準備も万端だ。明日9日に入寮する。生まれて初めて、親元を離れる。そして、11日には伊東監督らの前で新人合同自主トレが始まる。「何事も第一印象が大事。野球に限らず、人間性を含めて全部です」と、折り目正しく言った。目標の開幕1軍へ、最初からアピールする。

 色紙に今年の1文字を求められると、迷わず「吸」と書いた。「吸収の『吸』です。1年目。先輩たちからいろんなものを吸収してレベルアップしたい」と説明した。貪欲な18歳が、いよいよ、プロのスタートラインに立つ。【古川真弥】