巨人ドラフト1位の桜井俊貴投手(22=立命大)がマイペース発進した。新人合同自主トレ第3クール2日目の17日、川崎市のジャイアンツ球場でプロ入り後初めてブルペン入りした。5割の力で20球のみだったが、キレのある球を披露。自らが立てた計画を遂行し、まずは実戦初登板が予定されている2月11日の紅白戦に照準を合わせた。

 ジャイアンツ球場のブルペンで視線を独り占めにした。観覧スペースを埋めたファンに気を取られることなく、肩を慣らすとすぐにピッチングを開始した。体重移動を意識しながら5割程度の力で20球。わずか10分間だった。「意外と低めに投げられた。調子は上がってきている」と納得の表情を浮かべた。

 明治神宮大会で敗れた昨年11月15日以来のピッチングだった。「(捕手に)座ってもらって投げた方が球質が分かるので」と、プレートからの立ち投げはなし。試合を想定してワインドアップ、セットポジションで10球ずつ。クイックも試した。見守った豊田1軍投手コーチは「去年の戸根、高木(勇)はアピールしようという感じだったけど、桜井は慎重でしたね。ふだんのキャッチボールも丁寧にやっている。桜井は桜井でいい」と評価した。

 実戦初登板が予想される2月11日の紅白戦に照準を合わせ、逆算して調整している。全力で投げるのは2月に入ってから。「次は20日に5割の力で投げて、その次のピッチングで変化球を投げると思います」と、頭の中にスケジュールが刻まれている。

 計画性は勉学でも同じだった。中学、高校の夏休みの宿題は、終盤追い込むのではなく、毎日計画通りに進めた。テスト勉強も同じ。「終盤にある科目は先にやる。序盤の科目は後でやっていた。そっちの方が頭に入ります」と桜井流で高得点をたたき出した。高校受験では偏差値64の北須磨(兵庫)に一般で合格した。

 新人らしくない落ち着きぶりだ。宮崎春季キャンプは1軍スタートが内定しているが「冷静にマイペースにやっていこうと思います。けがをしたくないので」と話した。焦りはない。クレバーなルーキーがマイペースで滑り出した。【細江純平】