ド迫力投球で侍斬りだ!! DeNAのドラフト2位熊原健人投手(22=仙台大)が宜野湾キャンプ第3クール最終日の15日、プロ入り初のシート打撃に登板。侍ジャパン4番筆頭候補の筒香との対戦では、147キロ直球とチェンジアップで併殺に仕留め、持ち味をいかんなく発揮した。プロ初の“実戦マウンド”は打者8人を被安打1、1奪三振に抑え、上々のデビューを果たした。

 熊原の「神主投法」がさく裂した。グラブを顔より高く上げて投球動作に入る独特な投球フォームで腕を振りおろした。「抑えれば自信になると思っていた」。最大の見せ場は筒香との対戦だった。走者一塁の想定だったため「神主投法」は封印し、グラブはベルトの高さにセット。1・1秒強のクイックモーションに切り替えた。初球は147キロ直球を外角低めいっぱいに入れた。2球目も直球で押し込み、勝負球は外角へのチェンジアップでタイミングを外し、遊ゴロ併殺に打ち取った。

 侍ジャパンの主砲との初対戦に“快勝”。この日はシート打撃だったが、熊原本人は本番さながらの緊張感で勝負を挑んでいた。「(筒香は)雲の上の存在。体が大きくて少しでも甘く入ると持っていかれる」。コントロールミスが許されない状況だと自分自身を追い込んだ。大きなテーマとして「アピールするにはインコースに投げないといけない」と設定していたが、筒香には全3球とも外角球で勝負を優先した。

 ダイナミックな投球フォームとは裏腹に繊細な一面も持ち合わせている。プロ入り後は毎日の練習、出来事、感想をノートに記入。フリー打撃に登板した11日の欄には「変化球があまり入らなかった。低めには、いっていた。フォームで反るのが課題らしい。クイックの時は大丈夫」と丁寧に記されていた。「自分のためになると思ってプロに入ってから始めた。ノートに書いて、見返すようにしている」と、青のベイスターズカラーの手帳に残している“軌跡”がマウンドでも生かされている。

 ルーキー右腕の好投にラミレス監督も高評価でたたえた。「すごく良かった。この時期に147キロまでは期待していなかった。変化球の精度も高く、ストライクゾーンからボールゾーンへ投げ切れていた」。今後は今日16日の休養日を挟み、明日17日の韓国・KIA戦で2番手として登板する。「とにかくインコース。死球でもいいと思って強気にいきたい」と熊原。恐れることなく着実に歩を進めていく。【為田聡史】

 DeNA筒香(シート打撃で対戦した熊原に)「球が強くてタイミングも取りづらい投手。チェンジアップも腕の振りがいいし、いいボールだったと思います」