ロッテが新ルールに乗っかり“足”で3点を奪った。まずは、0-0の6回1死一、三塁。角中は浅い右飛だった。それでも、三塁コーチの清水外野守備走塁コーチは「行け!」。巨人亀井が捕った瞬間、三塁走者の清田がスタート。ワンバウンド返球は一塁方向へそれた。小林誠が捕球した左手のミットを本塁へ伸ばした時には、既に清田は滑り込みながら左手でホームに触れていた。

 今季導入のコリジョンルールにより、捕手のブロックが禁止される。清水コーチは「去年までだったら行かせる勇気はなかった」と認め、意図をこう明かした。「どれぐらいの打球なら本塁に行けるのか知りたい。オープン戦は強引に行かせている」。伊東監督は新ルールを念頭に、オープン戦は積極的に本塁を狙わせる考えを口にしていた。以前なら自重した当たりでもスタートを切らせた。

 6回は、なお2死二、三塁で鈴木が二塁内野安打。三塁走者が生還する間に、クルーズがファンブルした。清水コーチの腕が回る。二塁走者の井上は「50メートルは全盛時で6秒6」と決して速くないが、「走路があいている。直線で楽に入れる」と、捕り直したクルーズの返球よりも早く生還。さらに4-0の8回無死満塁では、鈴木の浅い右飛で三塁走者の大木が生還した。

 伊東監督は満足そうだったが「あっさり入る。うちだけじゃない。他球団もギリギリのプレーで走ってくる」と戒めるように言った。返球の正確さが、より求められる。この日は新ルールが追い風となったが、立場が変われば跳ね返ってくる。身をもって知ったことが収穫だ。【古川真弥】