中日ドラフト1位の小笠原慎之介投手(18=東海大相模)がオコエ斬りで開幕1軍の座に近づいた。3番手で7回に登板し、先頭オコエ瑠偉外野手(18=関東第一)を2球で追い込むと、外角チェンジアップで力のない二飛に打ち取った。3度目の対外試合で初めて無失点で終えた。15日から7連戦があるナゴヤドームでの登板権も事実上ゲット。目標にしてきた「開幕」が見えてきた。

 見慣れた、あの人なつこい顔。しかし目は合わなかった。合わせようともしなかった。丸太のような太ももにグッと力を入れる。

 「だいぶ体重が乗っていたと思います。まず、あいつがどうなるかを見ようと思いました」。オコエに対する初球。内角に切れ込む快速球は球団のスピードガンでプロ最速の146キロが出ていた。意識的に力を込めた1球でファウルチップを奪いペースを握った。

 2球目は外へのチェンジアップでファウル。3球目も同じコースに、同じ121キロの得意球を投げきり、腰砕けにした。二飛に仕留めた。「勝負に入っていて、何も聞こえず自分の世界に入っていました。“相手”なので抑えないといけないと腹をくくっていた」。そう対戦を振り返った。

 投手コーチには、オコエに回る場面での登板を伝えられていた。ともに昨年夏の甲子園を沸かせ、U-18W杯でも日の丸を背負ったチームメート。グラウンドでは2日間接触がなかったが、前夜は連絡を取り合った。マウンドに立てば、友人とは思わず、勝負に集中した。

 2死から連打を浴びたが、哲朗に9球粘られながらチェンジアップを外角低めに制球して空振りを奪った。走者を背負っても「コースをちゃんと突くとか、変化球で緩急をつけながら投げていった」。ヤクルト志田スコアラーも「“ピッチング”をしていましたね」と成長する18歳にまた警戒感を強めた。

 大きな24球になった。開幕1軍がくっきり見えてきた。谷繁監督は「(10日に)高校を卒業して真のプロ野球選手になった。もうお客さんじゃない。こうやって結果を残してね。今日はまとまっていた。こぢんまりということではなくてね。ストライクゾーンに投げていた。成長しています」と称賛した。

 首脳陣の、先発として大きく育てたい方針は変わらない。だが現状、開幕メンバーに入るならブルペン要員として。まさに戦力として認められようとしている証しだ。「今度は走者を出さず、ゼロに抑えたいです」と先を見据えた黄金左腕。特別扱いではなく、実力で最初の目標に達しようとしている。【柏原誠】