えっ、ちょっとマテオ…まだ投げるの? 阪神はヤクルトに延長12回、決着つかず引き分けた。同点の9回から守護神マルコス・マテオ投手(31)がリリーフ。10回も続投、さらに1度は勝ち越した11回もマウンドに上がった。まだ開幕6試合目ながら執念の3イニング61球救援。5時間12分の死闘に金本阪神の超変革ディフェンスが見えた。

 さすがの金本監督も疲労を隠せなかった。最後まで手に汗握った今季最長5時間12分の総力戦ドロー。勝ちに等しいのか、負けに等しいのか…。だが指揮官は迷わずナインの頑張りをたたえた。「できれば勝ちたかった。でも流れが悪い中で負けなかった。負けなかったというのが大きいね」。坂井オーナーも観戦した敵地での大激闘を高い評価で総括した。

 マテオの激投なしでは語れない。同点の9回裏から登板。川端、山田、畠山を3者連続空振り三振に斬ると、10回表に初打席に立ち、その裏もマウンドに向かった。先頭雄平をストレートで歩かせたが、後続を断って2回を0封。ここでお役御免かと思われた。だが11回表の攻撃中にベンチ前に出てキャッチボール。榎田と金田もスタンバイしていたが、鳥谷の押し出しで1点を勝ち越すと、何とその裏のマウンドに向かった。

 金本監督 ちょっとリードしたからね。同点なら代えてたみたいだけど。そこ(投手交代は)は矢野と香田さんに任せている。信頼してやってるからね。

 矢野作戦兼バッテリーコーチ 最初から(3イニングと)は思ってない。状況が状況だったのでね。

 香田投手コーチ 総合的に判断して決めました。我々の判断です。今後はない方がいい。

 マテオ リードしたのでもう1回行ってくれと言われ、行けると言ったよ。こういう展開だから疲れたと言ってられないからね。

 開幕6戦目で終盤のペナント優勝争いさながら。3月では超異例の守護神3イニング登板はこうして決まった。だがさすがにマテオも疲れを隠せず、来日4試合目で初失点となる川端の同点適時二塁打を献上。2死満塁でのサヨナラピンチは荒木を遊ゴロに仕留めてしのぎ、金本監督ら首脳陣もほっと一息ついた。

 金本監督 よく3イニング頑張ってくれたよ。

 マテオ アメリカやドミニカで先発した時期もあるので、長い回数や球数を投げたことはある。明日も行けと言われれば投げるよ。

 だが3回で61球を投げたストッパーを、今日1日も登板させるわけにはいかない。金本監督も休養かと問われ、「そうだね」とベンチ入りを外す方針を示した。もしサヨナラ負けなら大きなダメージが残ったが、12回も榎田が踏ん張って救われた。総力ドローの翌日は、マテオ不在の総力継投で挑む。監督も覚悟を決め、横浜行きの深夜バスに乗り込んだ。【松井清員】

 ▼今季の抑え役マテオが、来日最長となる3イニングの登板。阪神のチーム年間最多セーブ投手が1試合3イニングを投げたのは、藤川が06年7月30日ヤクルト戦(甲子園)10回から3イニングを投げたのが最後。