日本ハム大谷翔平投手(21)が、自身初の3試合連続となる本塁打を放った。2回先頭で、ディクソンの134キロ変化球をバックスクリーン右に放り込んだ。4、5日のソフトバンク戦から打者としては3戦連発となる6号ソロで、野手出場16試合にして昨季5本を上回るハイペース。「投手大谷」は登板7試合で1勝3敗と苦しんでいるが、「打者大谷」は試合ごとにすごみを増している。

 低い弾道のまま、バックスクリーン右までライナーで運んだ。一瞬の出来事だった。2回、大谷の自身初“3戦連発”となる1発。表情は変えず、口元を押さえながらダイヤモンドを1周した。理由があった。「せきが止まらないんで。(体調が)ずっと悪い。それでも打てたので、良かったです」。鼻声で明かした。薬を飲みながらの、衝撃の弾丸アーチだった。

 8日の西武戦で3敗目を喫した。2点の援護をもらいながら、中盤に逆転を許した。まだ2日しかたっていない。時間があれば、敗戦の映像を見返して原因を追究する。「打たれて元気な人はいないですけど、そういうメンタルでも、打撃に影響することはないです」。打席に立てば、打者の本能が呼び起こされる。投手で7試合、1勝3敗。悔しさを切り替え、早くも昨季を超える6本塁打。打率も3割9厘まで上昇した。栗山監督は「本塁打はどうでもよくて、この前投げた悔しさが残っている。『ちゃんと投げようぜ』って」と話したが、裏を返せば、打者・大谷には文句のつけようがないということだ。

 プロ入り初めてサヨナラ打を放った昨年8月8日楽天戦の翌日のこと。用具メーカー・ミズノの担当者が、ベンチ裏で大谷のヘルメットを確認していた。歓喜の瞬間、感情を爆発させて放り投げたヘルメットが、あまりにも高く舞い上がってグラウンドに落下したためだ。幸い損傷はなかったが「すごい力ですよ」。担当者は苦笑いしていた。

 オフには筋肉量を増やし、出力を上げた。今では2キロのメディシンボールを、屋内練習場の天井付近まで放り上げる。「あんなに上げる選手、見たことないですよ」と福島チーフトレーナー。強靱(きょうじん)な体から放たれる打球は、外国人助っ人にも見劣りしない。「いい打席が続いているので、今後も続いていけば」。規格外の打者・大谷は、もはや止めることが出来ない。【本間翼】

 ▼大谷が打席のなかった8日を挟んで3試合連続本塁打。今年3月29、30日まで4度あった2試合連続を抜く、自己最長記録を更新。月間3発は14年8月に並ぶ自己最多。今季は本塁打率(1本塁打当たりの打数)が大幅に良化。過去3年間は63・00→21・20→21・80だったが、今季は9・17。これは両リーグ最多本塁打のメヒア(西武)の9・71を上回る。また長打率6割9分1厘。こちらもメヒアの6割7分6厘を超える。