迷いはなかった。1-1の延長11回1死一、三塁。ロッテ岡田幸文外野手(31)は三塁から勢いよくスタートを切った。デスパイネの中飛は、やや浅かったが「行ける」と瞬時に判断。一塁走者の清田が一、二塁間に挟まれる“おとり役”も結果的に必要なかった。自慢の足で鮮やかに決勝ホームを踏んだ。

 勝ち越し機は自らお膳立てした。1死走者なしで、日本ハム高梨から右前打。3日以来21打席ぶりの安打に「良かったー」と無邪気に喜んだ。続く清田の左前打で一気に三塁へ。エンドランが決まった。後は、外野フライでホームを踏むだけ。岡田の真骨頂だった。

 開幕から1番打者として引っ張ったが、徐々にバットが湿った。5月は、再びベンチスタートが増えている。それでも「スタメンの人を応援するのは、もちろんのこと。スタメンじゃなくても、自分がプレーしている意識でいます」と、常に臨戦態勢だ。だから、途中出場でもスッと入っていける。準備は練習から。外野の名手だが、守備練習の“締め”は内野に立つ。二塁手や遊撃手の位置でフリー打撃の打球を受ける。狙いは打球判断。「これなら行けるとか、行けないとか」と、走者になった時を想定して鍛えている。

 今季17度目の逆転劇で4連勝。貯金を今季最多の9とした。伊東監督は「いよいよ、明日からだね」と、今日27日からの首位ソフトバンクとの3連戦をにらんだ。岡田も「貯金を1つでもふやしたい」。快足を飛ばし、タカのしっぽをつかむ。【古川真弥】