公約達成へ、半分まで来た。ロッテ二木康太投手(20)が中日打線を5回1/3、7安打1失点に抑え、5勝目を挙げた。開幕前にファンの前で「10勝、新人王」を掲げた3年目右腕が踏ん張り、チームは今季初の5連勝。交流戦は2ケタ10勝に達した。レギュラーシーズンでは首位ソフトバンクに独走を許しているが、交流戦の逆転優勝に望みをつなぐ勝利となった。

 勝利投手の権利を得ても、二木はマウンドを譲らなかった。首脳陣の打診に続投を志願。6回も上がった。だが、1死から中日松井佑に二塁打を打たれ降板を命じられた。「最低限の仕事はしましたが…。ピンチを作れば交代と考え、1人も出さないつもりで全力で行きました。ああいう形で。実力不足です」と、悔しさをかみ殺した。

 前日から、伊東監督に「(チームの)連勝を止めるなよ」とプレッシャーをかけられていた。必勝を期し、初回から飛ばした。「直球で行けるところまで行く」と、140キロ前後を軸に押した。4回2死から二塁打を連打され1点を失ったが、最少失点にまとめた。

 目標の半分まで来た。開幕前、ファンを集めたイベントで選手1人1人、今季目標を明かした。伊東監督や先輩たちが居並ぶ前で、二木は堂々「10勝、新人王」と掲げた。昨年10月に1試合に投げただけ。実績はなくても「やるからには大きな目標を、と。書くことで自分にプレッシャーをかけたかった」。“公約”が原動力になっている。

 伊東監督は「いい時、悪い時もある中で5勝。これからは欲を出して2ケタを狙って欲しい」とハッパをかけた。4月には、落合投手コーチに「今は地位を築く時。勝ち負けは8月からでいい」と言われていた。そんな右腕が、6月でここまで来た。チームは今季5度目の挑戦で、5連勝の壁を破った。全て先発投手がものにした。その最後の1つを、二木が果たした意味は大きい。【古川真弥】