「新・平成の名勝負」を制し、チームに勢いを与える。巨人菅野智之投手(26)が22日、DeNA筒香にリベンジを誓った。今季初対戦だった3月31日で7回に同点の3ランを被弾。リーグ戦再開の初戦(24日DeNA戦)を託されたエースは「1発食らっているので、リベンジできれば」と闘志をたぎらせた。侍ジャパンの投打の軸となる2人の名勝負からリーグ戦が再開する。

 ライバルの顔が浮かび、スイッチが入った。24日に対戦するDeNA打線攻略のカギを聞かれ、菅野の言葉に力がこもった。「やっぱり筒香だと思います。僕自身、セ・リーグNO・1の打者だと思っていますし、彼も対戦を楽しみにしていると聞いた。1発食らっているので、何とかハマスタでリベンジできればと思います」。慎重に言葉を選ぶ男が、自ら「筒香」の名前を挙げ、雪辱を誓った。

 数々の名勝負が、プロ野球史を彩る。昭和で言えば、巨人長嶋と阪神村山、巨人江川と阪神掛布。平成では、近鉄野茂と西武清原、オリックス・イチローと西武松坂など、剛腕対スラッガーの対戦はファンを魅了した。菅野対筒香の今季成績は6打数2安打1本塁打。通算では26打数6安打3本塁打と菅野がやや上回るが、決勝弾が2本と2人の勝負がチームの勝敗を左右すると言える。

 菅野自身、その事実は百も承知だった。だから、純粋に筒香との対戦に燃える一方、抑え込むことを宣言した。この日、川崎市のジャイアンツ球場で行われた全体練習でブルペン入り。右、左と交互に打者に立ってもらって、51球投げた。左打者には懐を直球、スライダーでえぐって、デモンストレーション。3月31日の同戦で浴びた同点3ランの残像を消し去った。

 主砲封じは、巻き返しへの動力に変わる。交流戦は勝率5割で終えたが、首位広島とのゲーム差は6に拡大した。首位奪回への道のりは簡単ではないが、エースは「巻き返せるチャンスはあります。去年は心のどこかで何とかなると思いながら、終わってしまった。そうならないように、目の前の試合を勝ちきっていく」と意気込んだ。リーグ戦再開の初戦を白星で飾って、逆襲への道しるべを作り上げる。【久保賢吾】