バットを振れば入る! DeNA筒香嘉智外野手(24)が広島戦で2試合連続となる32号ソロを放った。3-1で迎えた5回2死。梶谷の2戦連発に続く、2者連続アーチを黒田から右中間へ運んだ。月間16本塁打は日本人最多タイ。31日に2本塁打を放てば13年8月にバレンティン(ヤクルト)がマークしたプロ野球月間最多記録に並び、通算100本塁打に到達する。チームの連勝に貢献し貯金も6月13日以来の1に。広島とのゲーム差は9となった。

 2打席連続四球の後の3打席目も2ボールとなった。筒香は打席の中で涼しい顔をしていた。「ボールが多いとか、そういう感情は打席の中ではありませんから」と平常心を保っていた。それに反して黒田がいら立たしげにマウンドを下り、気持ちを整えるように周囲を歩く姿を見守った。再び上がったマウンドから投じられた3球目にストライクが来た。133キロのフォークが真ん中に入ってきた。今の筒香が見逃すはずがない。ミスショットするわけもない。ライナー性で右中間席に届いた。「カジ(梶谷)さんの流れに自分もうまく乗ることができました!!」と仲良しの3番打者の勢いにも乗った。

 チームを勝利に導く強い思いがナインに伝わり、勢いを生んでいる。主将になって2年目。先輩の前主将石川や、下園らをつかまえて、今何を話したらいいのか聞いている姿がある。進藤ヘッドコーチは「チームを盛り上げようとしている。性格的には無理している部分もあるのかもしれないけどね」と、裏側で支える努力を見守っている。

 中堅の下園も後輩の姿勢を認める。「自分で考えて言うようになった。ミーティングは何回か集めてます。自分から盛り上げるのに慣れてきているし、成績でも引っ張っていける。年上でもアイツにはついていこうという思いです」と評価している。

 チームを思う気持ちが個人の成績にも好影響を与えているのだろう。ホームランの量産だけではない。7月は80打数35安打で打率は4割3分8厘だ。ラミレス監督は7月以前との違いを「前はストライクを見逃す傾向にあったが、今は早いカウントから準備ができている。重心が高かったのがどっしり構えられ、より低いライナー性の強い当たりが増えてきた」と解説した。

 ライナーがヒットだ。その延長上に本塁打がある。そしてチームの勝利がある。筒香が本塁打を打てば8連勝。月間16本は王貞治を抜いて日本人トップタイとなった。「ズバぬけた人で、しゃべれない人ですから。勝てば素直にうれしい。勝たないと意味がない。これからも勝つために打っていきたい」と個人記録よりチーム優先で戦っていく。初のCS進出へ打って、打って、打ちまくる。【矢後洋一】

 ▼筒香が今月16本目となる32号。月間本塁打の最多記録は13年8月バレンティン(ヤクルト)の18本で、筒香の16本は2位タイ。日本人選手では81年7月門田(南海)94年8月江藤(広島)04年4月阿部(巨人)に並び最多となり、左打ちでも門田、阿部に並ぶ最多だ。32号は第3打席で記録。7月の16本を打席別に出すと、1打席2本、2打席2本、3打席7本、4打席2本、5打席2本、6打席1本。16本中7本を3打席目に打っている。7月の筒香は打率4割3分8厘、30打点。月間成績が打率4割、15本塁打、30打点以上は過去3人(4度)いるが、すべて外国人選手。日本人選手では筒香が初だ。