2016年度版の「メークドラマ」再現打線が完成した。巨人は左足首痛で離脱していたルイス・クルーズ内野手(32)が「7番二塁」で約2カ月ぶりに1軍復帰。2回1死一塁、左翼上段のバルコニー席に7号先制2ランを放り込み、「思い通りのスイングができたよ」と声を弾ませた。

 クルーズの特大アーチが呼び水になった。なお2死二、三塁で、2番橋本到が右中間に2点適時二塁打。続く坂本が右前適時打で総攻撃を仕上げた。ケガからの復帰戦で結果を出した助っ人の活躍に、高橋監督は「本人にとってもチームにとっても勢いを付ける1本だった」と目を細めた。

 クルーズの姿が20年前の「くせ者」と重なった。最大11・5ゲーム差を逆転した96年夏、左足首の故障で離脱していた元木が復帰戦で「7番二塁」で3安打3打点。そこから奇跡の逆転劇に加わった。クルーズは「メークドラマ? (出身地の)メキシコ史も知らないんだから知らないよ」と苦笑しつつ「最善を尽くして同じようなドラマを作れればいいね」と再現を約束した。

 これで欠けていたピースが埋まった。4番阿部を中心に主軸が快音を響かせる中、2番と7番がもうひと息だった。この日は橋本到が2安打2打点でクルーズも先制アーチと、流れるような連打が決まった。

 7連勝後の連敗を阻止したが、首位広島が勝利したため差は縮まらなかった。それでも高橋監督は「いい攻撃ができている。軸がしっかりしているので周りがチャンスをつくれば彼らが何とかしてくれる」と手応えを深めた。最高の結末に向かって、名キャストがそろってきた。【浜本卓也】