ソフトバンクが非常事態に陥った。同点の9回2死満塁、守護神のデニス・サファテ投手(35)がゴロを捕球しようとして転倒し、右足首を痛めた。試合後は病院へ向かうアクシデントが起こった。さらに4回の守備では、打球が審判に当たってピンチが広がり、先制点を失った。2-3で楽天に競り負け、優勝マジックもつかないまま。勝率差で首位は保ったが、再び2位日本ハムにマイナス0・5ゲーム差となった。

 ツキがない、では済まされない試合となった。ソフトバンクは2-2の9回から登板したサファテが、2死満塁でゴロを捕球しようとして右足首を痛めた。内野安打となって勝ち越しを許し、そのまま降板。ここまで両リーグトップの37セーブを挙げていた守護神が、抱えられながら、右足を地面につけない状態でベンチ裏へ下がっていった。試合後は、右足を引きずりながらタクシーで病院へ向かった。

 工藤監督 この1試合うんぬんより足の方が心配。今後、いるといないのでは全然違ってくる。明日の様子を見てみないと。大丈夫だと歩いてくるかもしれない…。可能性は低いとは思いますが。

 リーグ3連覇へ暗雲が垂れこめる重い1敗だ。4回にも不運があった。無死一塁。銀次の打ったゴロは遊撃・今宮の正面へ。遊-二-一の併殺かと思った瞬間、今宮の前で白球が舞った。打球のコース上にいた佐藤二塁塁審がジャンプしたが、よけきれず足に当たった。佐藤塁審は気まずそうに「内野内にいた私に打球が当たりましたので、無死一、二塁で試合を再開します」と場内アナウンス。ファンからはため息がもれた。

 内野の中にいる審判は「石ころ」ではない。当たった瞬間にボールデッドとなり記録は遊撃内野安打。工藤監督は「ハードラックとしか言いようがない。しっかり当たらないようにお願いするしかないですね」。再開後にウィーラーの三塁への強いゴロを松田が適時失策し、先制点を許した。

 6度目の優勝マジックへの挑戦も失敗に終わった。2強の争いが激しくなる残り31試合で、痛すぎるサファテのアクシデントが起きた。工藤監督は「もう1回落ち着いてやらないといけない」と話す。勝率で首位は守ったが、王者に最大の試練が訪れた。【石橋隆雄】

 ▼ソフトバンクは優勝マジック点灯をかけた試合に6連敗。M点灯は最短で明日25日にずれ込んだ。

 ◆ゲーム差 上位チームとの差を示す目安の数字。Aチームと首位のゲーム差を出す場合、(首位チームの貯金-Aチームの貯金)÷2で計算する(貯金は勝数-敗数)。1勝または1敗で0・5ゲームずつ変動し、仮に2ゲーム差の場合、首位が2敗、Aチームが2勝すればゲーム差は0となる。順位は勝率で決めるため、試合消化数や引き分け数の関係で、今回のように首位より貯金が多くて2位の「マイナスゲーム差」が生じることがある。