劣勢を一振りで吹き飛ばした。西武エルネスト・メヒア内野手(30)が2点を追う6回に決勝の30号3ラン。初球の狙い球をたたいた会心の1発に「真っすぐはないと思っていたから、フォークを待っていた。とてもいい気持ちだったよ」とほおを緩めた。

 振り込むことで調子を取り戻した。前日27日から2日連続で特打を敢行。「納得のいくまで振って、自分の打撃をつかみたかったんだ」。球を長く見て逆方向へ打ち返すスイングを反復。強引に引っ張らず、右翼席に運んだ逆転弾は、練習通りのアーチを描いた。

 姿勢も改めた。16日ソフトバンク戦前。凡打すると一塁まで走らない姿を首脳陣から戒められた。「チームの士気のためにもよくないことだった。たとえ内野ゴロでも何が起こるか分からない。しっかり走らないといけない」。その日から平凡な外野フライでも一塁まで走った。この日の4回は右翼線への一打で全力疾走。滑り込んで二塁を陥れる気合あふれる走塁をみせた。

 本塁打はリーグトップタイ。3安打4打点の大暴れで、打点も同2位の88まで伸ばし「常に自分に自信を持ってプレーしないといけないと思っている」とうなずいた。出産を控えるマイテ夫人に付き添うため、9月上旬に一時日本を離れるが、5日間程度で再来日する予定。チームを8月月間と6カード連続の勝ち越しに導いた助っ人は、お立ち台で久々に「メヒアさまさまや~」と張り上げた。30日からはソフトバンク戦。復活したバットで上位をいじめ、チームを押し上げる。【佐竹実】