クライマックスシリーズ(CS)進出が遠のいていく…。聖地甲子園に帰ってきた虎が、CS出場圏を争うヤクルトに3連戦3連敗を喫した。難敵の山中を打ち崩せず、守備ミスも響いての逆転負け。3位DeNAとは3・5ゲーム差となった。長期ロード明け甲子園での同一カード3連敗は、94年以来22年ぶりの屈辱。金本知憲監督(48)も「申し訳ない」と謝罪する黒星だった。

 胸躍らせた少年少女が困り果てる試合展開になってしまった。夏休み最後の甲子園。絵日記のネタが見つからない痛恨の敗戦だ。前日27日の試合後、金本監督は「来ているファンを喜ばせてあげるという。とにかく勝って」と必勝指令も出したが、またもヤクルトのサブマリン山中に戸惑ったまま2戦連続の完投勝利を献上。指揮官も「見ての通り、本当に申し訳ないし、9月にたくさん甲子園あるから」と虎党に謝罪した。

 まるで悪夢を巻き戻し再生したような貧打ぶりだった。下手投げから浮き上がってくる球の軌道と向き合うのは今季4度目。過去2敗を喫し、防御率0・82に抑えられていた。前回対戦した6日には神宮で14個の飛球アウト。指揮官は「カモにされているね。あまりにもフライアウトが多すぎる」と談話を残していた。教訓は全く生かされていない。27アウトのうちフライアウトは犠飛を除けば16個。間合いを計れず打ち損じた証拠だ。金本監督も吐き捨てるように言った。

 「前回と一緒よ。何をどう考えて、この投手を打とうとしているのか、まったく見えてこない」

 打てなければ、せめて守りで勝機を見いだす、しぶとさもない。27日に三塁で3年ぶりに先発した上本が、この日は痛恨の捕球ミスを連発。2回1死一塁で西浦の高いバウンドのゴロをこぼしてピンチを招く。ここは岩貞の粘りに救われたが、5回は致命的だった。坂口の平凡なゴロをグラブの土手に当てて失策。これが引き金になり、岩貞も耐えきれず1点リードを吐き出し、3点を失った。

 選手会長の上本が「自分のミスです…」とうなだれれば、久慈内野守備走塁コーチも「慣れとかいう、問題じゃない。2つともイージーなゴロ。今日は、あれで負けたようなもの」と苦虫をかみつぶした。本拠地で打てず、守れず、クライマックスシリーズ進出を目指す反攻が、しぼむ。横浜で3連戦3連勝して0・5ゲーム差に迫った勢いは完全に消え、3位DeNAとは3・5ゲーム差に。ヤクルトにカード3連敗を喫したことで、CS争いから脱落しそうな急失速。V逸は最短で31日に迫る。金本阪神がまたも、踏ん張りどころを迎えた。【酒井俊作】

 ▼阪神が長期ロード明け甲子園での同一カード3連戦3連敗スタートは、94年8月26~28日広島戦以来、22年ぶり。甲子園での同一カード3連戦3連敗は今季3度目(ほかに7月8~10広島戦、同18~20日巨人戦)。シーズン3度の聖地3連戦3連敗は、99年以来、17年ぶりのこと。また、これで阪神は今季、甲子園では20勝28敗1分けと借金8。近年では98年に借金11(25勝36敗)した例があるが、今季はこの後挽回できるか。