日本ハムは、11・5ゲーム差をひっくり返した公式戦同様、チャレンジャー精神の“ガムシャラ戦法”で巨大戦力に立ち向かう。

 9日、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージに向けて最後の実戦調整となる紅白戦を行った。試合中には相手がソフトバンクに決まり、栗山英樹監督(55)は「泥だらけになって、体当たりするしかない」と力を込めた。明後日12日の初戦のマウンドには、大谷翔平投手(22)が上がる。

 紅白戦のスコアを伝える大型ビジョンに、CSファーストSの試合結果が表示された。ファイナルSの相手が決まった。3年連続日本一を狙うソフトバンクだった。栗山監督は「普通に考えれば、ウチはチャレンジャー。決してそんな立場(迎え撃つ立場)ではない」。手綱をぎゅっと締めた。

 試合後のコーチ会議では、公式戦と同様に、ガムシャラに戦う意思をあらためて統一した。「泥だらけになって、裸になって、ガムシャラに体当たりするしかない」。ソフトバンクとの最大11・5ゲーム差を大逆転で完結させた『北の国から2016 伝説 (誰もあきらめなかった)』(栗山監督命名)は、常に懸命な“キャスト”たちがいたからなし得たシナリオ。その姿勢を、ポストシーズンでも貫き通す。

 初戦のマウンドを託されるのは大谷だ。この日は「3番・DH」として打者で出場し、6回無死一、二塁の好機に見逃し三振に倒れるなど3打数無安打に終わった。「まずは初戦が大事」。試合後はすでに、“投手の顔”になった。今季のソフトバンク戦は4試合に登板して2勝負けなし、防御率1・26。打者としても4割1分1厘、9本塁打と投打で圧倒している。「(ソフトバンクが)強いのは当然ですけど、しっかり勝てるようにやっていきたい。(1勝の)アドバンテージは考えていない。1つ1つ取りにいくだけ」と力を込めた。

 昨年まで苦汁をのまされ続けたソフトバンクとの戦い。今季は15勝9敗1分けと勝ち越したが、日本シリーズ3連覇の道を断ち切ってこそリベンジが完成する。栗山監督は「相手が決まって、選手たちはスイッチが入って向かっていってくれると思う」。宿敵を倒して駆け上がる頂点。奇跡を起こした若者たちに、再び最高の舞台が用意された。【本間翼】