連続日本一へ向けて、経験豊富な実力派右腕が加入する。日本ハムは18日、元巨人で米大リーグ・インディアンス傘下3Aコロンバスの村田透投手(31)を獲得したと発表した。1年契約で、年俸は3500万円プラス出来高払い(推定)。7年ぶりの日本球界復帰となる。今季は3Aで33試合に登板し9勝4敗4セーブ、防御率3・78。栗山英樹監督(55)は先発の一角として期待を寄せる。

 米国からの「逆輸入」で、大きな戦力が加わる。日本ハムが、米大リーグ・インディアンス傘下3Aの村田を獲得した。村田は球団を通じ「今季終了後、今後について思い巡らせていた中、いち早くファイターズからお話があり、高い評価をいただいたのが入団の決意を固める要因になりました。今は非常に気持ちが高ぶり、すぐにでもファイターズのユニホームに袖を通しプレーしたいという思いでいっぱいです」とコメントした。

 単身海を渡り、生き抜いてきた経験が何よりの武器だ。07年の大学・社会人ドラフト1巡目で巨人に入団。結果を残すことができずに2010年オフに戦力外通告を受けたが、11年にインディアンスとマイナー契約を交わし、実績を積み上げてきた。昨年6月28日オリオールズ戦では念願のメジャーデビュー。栗山監督も「待ち焦がれていました。どうしてもほしかった投手。米国で頑張っているのは以前から分かっていた。苦労して自分を作り上げてきたところが本物だし、野球選手としての本質を感じている」と評価している。

 今季は3Aで33試合に登板し、9勝4敗4セーブ、防御率は3・78。開幕当初は中継ぎをこなしたが、シーズン途中から先発を任された。同監督は「来季、先発ローテーションに入ってくれると信じています」と期待。チーム勝ち頭の有原(11勝)をはじめ、10勝を挙げた大谷、増井、高梨も1年間を通して先発ローテを守ってはおらず、トレード移籍で吉川も抜けた。先発として期待がかけられている。

 150キロに近い速球に加え、スライダー、フォーク、チェンジアップなど変化球も多彩。巨人時代のチームメートで、同い年でもある市川もこの日「自分が思うようにやったらいい。ツーシームとかカットとか、動く系のボールが増えていると思う」と、お互いに成長した中でバッテリーを組むことを心待ちにした。

 巨人からトレードで獲得した大田に続く戦力補強。「同じ形では優勝しないと思っている。勝つことより、勝ち続けることが難しい」という栗山監督の言葉通り、連覇を目指し、チームは大胆に変革していく。【本間翼】

 ◆村田透(むらた・とおる)1985年(昭60)5月20日、大阪・熊取町生まれ。大体大浪商では2年春の甲子園に出場し、開幕戦で二松学舎大付に完投勝ち。大体大では3年時に大学選手権優勝でMVP。07年大学・社会人ドラフト1巡目で巨人に入団。3年間で1軍登板なく、10年限りで戦力外に。同年12月にインディアンスとマイナー契約を結んだ。メジャー登板は15年の1試合で1敗、防御率8・10。マイナー通算164試合(99先発)46勝28敗6セーブ、防御率3・76。183センチ、80キロ。右投げ左打ち。

 ◆日本ハム先発事情 今季10勝のエース大谷を含む今季2桁勝利カルテットの有原(11勝)増井、高梨(ともに10勝)は来季も軸になりそう。12年リーグMVPの吉川が巨人に移籍し、14試合で先発したバースが退団した中で、貴重な左腕加藤、来日4年目を迎えるメンドーサも有力候補。栗山監督がアルファベットの頭文字をとって「U3」と期待する上沢、浦野、上原のほか、今季未勝利に終わった斎藤、中村らが巻き返しを期している。

 ◆米球界から日本ハム入りの主な日本人選手 現役では田中賢介内野手が2年間の渡米後、15年から古巣に復帰。過去には新庄剛志外野手がメッツFAから04年に入団。北海道へ本拠地移転の初年度から地元ファンを熱狂させ、06年までプレーした。本拠地移転前では、03年に野村貴仁投手がブルワーズから入団。米球界前のNPB未経験者では、メジャー15試合登板の多田野数人投手が07年大学・社会人ドラフト1巡目指名を受け、14年まで在籍した。