高年俸にかけて、エースを打つ! 新人王を獲得した阪神高山俊外野手(23)が2日、兵庫・西宮市内の球団事務所でプロ入り初の契約交渉に臨んだ。167%アップの年俸4000万円(推定)で更改。球団野手では01年赤星以来、2年目の年俸が4000万円に到達した。球団新人最多の136安打をマークした1年目も、巨人菅野らエース級投手との力量差を痛感。攻略に燃えた。

 会見場がごった返していた。テレビカメラ8台、報道陣約50人。注目の主、高山は黒のスーツに身を包み、堂々と現れた。着席し一礼。無数のフラッシュを浴びながら、硬い表情を解いて話を始めた。

 「うれしかったですね。評価していただいたなと思いました。満足しています」

 新人王も獲得した今シーズン。球団の評価は最上級だった。阪神の野手では01年赤星憲広以来となる2年目の年俸4000万円。バラ色に染まる一方で、高山の胸の奥にはモヤモヤも残っていた。

 「大谷投手ですね。今の僕では相手にならなかったし、力の無さを感じました」

 思い起こすは6月12日、札幌ドームの日本ハム戦だ。先発大谷に3打席3三振。一流投手との力の差をまざまざと見せつけられた。さらに今季は大谷だけではなく、エース級投手にことごとく苦しんだ。巨人菅野に打率2割1分4厘、DeNA井納に2割7分3厘、ヤクルト石川には無安打だった。

 「そういう投手から打っていかないとチームも勝てないし、僕も(試合に)出られなくなる。そういう投手に負けないように練習していきたい」

 細かい数字に目を向けても、109三振はリーグワースト5位。四球も530打席でわずか27四球にとどまった。高山もこの2つの数字に大きなこだわりをみせる。「来年は一緒ではダメだと思います。ボール球を振らずに四球を増やしていく。そういうところを改善していけば、打率も上がってくると思います」。エース攻略とともに来季の大きな目標の1つに掲げた。

 大幅アップした年俸の使いみちには「貯金しようかな」と堅実な姿勢。引き締め直して、勝負の2年目に臨む。【梶本長之】

 ▼高山は今季、規定投球回に到達した他球団の主力投手に対し、打率2割9分5厘(78打数23安打)。規定投球回不足の投手相手の2割7分2厘を上回った。さらに「規定投球回に到達した2桁勝利投手」との対戦では、打率3割2分4厘(37打数12安打)の好成績。本人の印象以上に、エース級を攻略している。