【ホノルル(米ハワイ州)4日=池本泰尚】広島大瀬良大地投手(25)が優勝旅行でも無休でトレーニングしている。長男今村とともに「カピバラ3兄弟」と呼ばれる次男大瀬良と三男一岡はカピオラニ公園で毎日、キャッチボール。約70メートルの距離で投げるボールは強めだ。大瀬良は先発に再転向する来季、フォークも武器に「カピってる」活躍を披露する。

 楽しいハワイ優勝旅行の宿舎ホテルから車で約5分、歩いても約15分のところに、約60万平方メートルの広大な公園がある。カラカウア王によって寄贈された公園で、愛妻「カピオラニ王妃」の名前をとってカピオラニパークと名付けられた。大瀬良は「なんか親近感が湧きますね」と笑った。ご存じ「カピバラ3兄弟」の次男は、三男の一岡とともにカピオラニ公園で毎日汗を流している。

 ダイヤモンドヘッドをバックに、大瀬良が足を上げる。肘がしなり生み出されるボールは低い弾道で一岡のグラブへ。現地人が写真に収めるほどの美しさだった。「暖かいし体も動く。感覚がすぐになくなってしまうので、ボールを握ろうと思った」。額に浮かぶ決意の汗が、日差しに反射した。

 来季は先発としてローテをつかみにいく。今季は故障から復帰した初戦の1試合に先発したが、残りの16試合はすべて中継ぎ登板だった。「中途半端な形でやりたくない。年間を通してローテで投げる。楽しみはない。来季は分岐点になる」と優しい顔ながらもきっぱりと言った。具体的な目標は言わなかったが、規定投球回到達が最低目標になる。

 肩や肘に不安があった16年を振り払おうと、トレーニングも継続。フォークを落とすことにもつながる指先、前腕の筋肉を強化している。11月に参加した侍ジャパンの強化試合では巨人菅野にも「前腕の使い方、落ちる球の話も聞きました」。さらには肩周りの可動域を広げようと、柔軟性のトレーニングも継続中だという。

 緒方監督も「何か気持ちがあるからグラブを持ってきているんだろう。高いレベルで競争してほしい」と期待する。16年が「神ってる」なら、来季は「カピってる」。カピオラニ公園から、大瀬良の先発物語が再出発する。