巨人高橋由伸監督(41)がONから「喜怒哀楽」の勧めを説かれた。17日、都内で「たまッチ! Presents独占! 長嶋&王が夢の共演」(フジテレビ系列、12月30日午前8時半から放送予定)に出演。巨人終身名誉監督の長嶋茂雄氏(80)ソフトバンク会長の王貞治氏(76)との豪華3ショットが実現した。就任1年目を終えた若き指揮官は、大先輩から「表情を出した方がいい」「感じたことを伝えていい」と助言された。ONからの激励を胸に、3年ぶりのリーグ優勝をかけた来季へ臨む。

 高橋監督が何度も表情を崩した。「3人でそろってお話しするのは初めて」。長嶋氏、王氏と同じ時間を共有し、同じ空気を吸った。冒頭は緊張が伝わったが、ONがざっくばらんに野球について話す姿に、青年監督も大きな笑い声を上げた。

 話題が高橋監督の試合中のポーカーフェースに移った時だった。「腹が立つときはある。でも(物に)当たっても仕方ない。いい時もあれば悪い時もある。現実を受け入れる必要がある」。思いを聞いた2人の大先輩が自分なりの考えを口にした。

 王氏 僕はその時の思いはバッと顔に出した。でもパッと切り替える。後ろ向いたら忘れるぐらいの方が選手も『怒っている』と分かる。選手に伝えるためには表情に出した方がいい。

 長嶋氏 もう僕は喜怒哀楽はひどいからね(笑い)。高橋監督が現役の時もいたけど、選手に対したことは感じたまま伝えた。でも終わったことは忘れて明日の試合に備える。

 高橋監督も現役時代は長嶋氏の怒りを肌で感じた1人だった。ON対決だったダイエー(現ソフトバンク)との00年日本シリーズでは1、2戦目は3番で無安打。「怒っているなと分かった」。だが3戦目から6番に下がると2本塁打を放つ活躍で日本一に導いた。激怒と打順変更が特効薬となった。

 クールを貫くのは理由がある。淡々と振り返ることが多かった試合後のコメント。「試合直後で選手に直接言う前に新聞を通して話すのは嫌だった。選手は一緒にやってきた仲間でもあったし、距離感も難しかった」。1年目は自分の信念に従って振る舞った。

 就任2年目の来季。ONは「由伸色」が出てくることに期待している。長嶋氏が「選手を内野手、外野手と全部引っ張る気持ちを、さらに強く思ってほしい」と言えば、王氏も「自分が思った通りに最終決定できる立場。自分の判断が正しいと思って、思い切ってやってほしい」と背中を押した。

 高橋監督も受け止めている。「やりたいように思い切ってやりなさい、と常に言っていただいている。強い2人が味方でいてくれるのは大きな支えです」。ミスターと世界の王の思いを背負い、監督道を歩む。【広重竜太郎】