広島堂林翔太内野手(25)にとって、新たに迎える2017年は勝負の1年となる。16年は12年以降、最少となる60打席にしか立てず、25年ぶり優勝を心から喜ぶことができなかった。ハワイ優勝旅行を辞退し、オフはほぼ毎日トレーニング。しかも元日から始動。不退転の覚悟で迎える新年だ。

 16年2月。石井琢朗打撃コーチら3人の打撃コーチ陣により、明確なビジョンを持って春季キャンプを過ごすチームメートを横目に苦しんでいた。出遅れはシーズンに影響した。開幕1軍を逃し、1軍に上がっても途中出場が目立った。自分の打撃をなかなか見つけられない時間が堂林を苦しめた。

 ようやく光が差したのは、シーズン終盤。ときを同じくして、堂林は同じ右打者の先輩、新井に弟子入りを志願した。「今年もそうだけど、来年やらないといけない。どこまでもついていく覚悟です」。目の前で燃え盛る炎の熱さに耐えながら不動真言を唱える護摩行への参加も即答する姿勢に、新井も首を縦に振るしかなかった。シーズン中にも試合前にマンツーマン指導を受ける日があったように、年明けとともに新井、堂林の師弟も本格的に動きだす。今では構え、フォームまで似てきた。堂林が師の背中を追い、覚醒へ全力を注ぐ。【広島担当=前原淳】