今オフ、ロッテを戦力外となった伊藤義弘投手(34)が、30日夜TBS系テレビで放送された年末恒例番組「プロ野球戦力外通告~クビを宣告された男たち」で特集された。

 同投手は東福岡-国学院大-JR東海を経て07年大学・社会人ドラフト4巡目でロッテ入り。1年目の08年、開幕1軍入りを果たすと51試合に登板。リリーフで活躍し10年には65試合に登板、中日との日本シリーズ第7戦では胴上げ投手となった。

 しかし、11年9月1日の日本ハム戦で登板した際、対戦した陽の折れたバットの鋭利な部分が左すね付近に突き刺さる大けがを負って暗転。負傷した左足を無意識にかばうため、12年以降は故障に泣かされ、登板数も激減した。今季は1軍登板なしに終わり戦力外通告を受けた。プロ9年間の通算成績は257試合に登板、6勝13敗1セーブ、防御率3・83だった。

 妻沙綾さんは「何回もがけからはい上がる主人を見てきたのでユニホームを着てマウンドに上がる姿を信じたい」と複雑な心境を明かした。

 戦力外となった伊藤は11月12日に甲子園で行われた12球団合同トライアウトを受験した。打者3人を右飛、遊ゴロ、右前安打。妻は涙ながらにスタンドから登板を見守った。

 トライアウトから2日後、伊藤の携帯が鳴り、秋季キャンプを行う巨人から宮崎で練習参加(テスト)連絡が入った。伊藤は3日間で135球を投げ完全燃焼した。

 宮崎の宿舎に戻ると「契約はない」と球団関係者から聞かされた。千葉の自宅に戻ると結果を知りたがる子どもたちに「パパはテスト落ちたの…」と無念の事実を告げた。

 「野球選手を引退します。9年間いろいろ心配かけた」と涙をながす妻に感謝の言葉をかけた。

 伊藤は現役引退を決め、中学と高校の体育教師になるため大学進学で教員免許取得を目指すことを決めた。

 「社会人でも3年やって、プロという華やかな世界も知った。僕が子供の頃、そんな経験をした先生がいたら刺激になったと思う。野球だけじゃない。僕の経験も教えたい」と話していた。