ソフトバンクのドラフト1位、田中正義投手(22=創価大)が超一流の心得を世界の王から学んだ。25日に行われた王貞治球団会長(76)と新人選手との食事会で「臆せず、遠慮せず」のアドバイスを受け、貪欲にプロの世界で生き抜くことを誓った。

 気配りの王さんの振る舞いに目を奪われた。福岡市内の中華料理店。同じテーブルに座った世界のホームラン王はあまりにも気さくだった。

 田中 小皿とかを王会長が自ら配って…。本当にこういうことをされるんだなあと。気さくというか、立派な方よりも謙虚というか…。

 球団会長であり、球界のレジェンド。雲の上の人のざっくばらんさは田中に強烈な印象を与えた。「こういうことが大事なんだなと。本当の一流というのはこういう人なんだと思いました」。偉大すぎる大先輩からのプロで生きるための「金言」も胸に響いた。

 「『臆することなく、遠慮せず』と言われていたので、言い方は悪いですけど、使えるものはどんどん使って上がっていきたい。いい意味でわがままに貪欲にやっていきたいと思います」

 26日は合同自主トレを初視察した工藤監督の前でブルペン入りした。立ち投げで14球。捕手を座らせて26球。「緊張はありませんでした」。監督の視線に、臆することもなければ、遠慮もない。自らのペースで直球にカーブ、カット、フォークボールの変化球も交えた。最後の1球はアウトローへの直球を投げ込み「最後の球は良かった」と自画自賛した。キャンプインまで1週間を切った。今クールでもう1度ブルペンに入り、最終調整する予定。世界の王の言葉を胸に、田中が一流への道を歩み始める。【佐竹英治】