中日吉見一起投手(32)が“弟子”ソフトバンク千賀からの「逆輸入直球」で先発ローテの支柱となる。4日、沖縄・北谷球場でブルペン入りし、9割直球で74球を投じた。1月の福岡・八女市での恒例の合同自主トレで、昨季12勝のソフトバンク千賀の中指のみに力を入れる直球の握り方を教わった。球威が増したストレートを武器に、竜投の先頭に立つ。

 侍ジャパンにも選出された千賀とは、スポーツトレーナーの鴻江寿治(こうのえ・ひさお)氏が指導する通称「鴻江キャンプ」で出会ってから、オフはともに汗を流してきた。吉見を観察し吸収してきた千賀は昨年、真っすぐの握り方を変え、12勝の結果につながったという。その握りは、中指のみ力を入れ、他の指は添える程度というもの。今度は吸収する番とばかりに、吉見は「回転数を上げて強いボールを投げるため」と、千賀流直球のレクチャーを受けた。

 投球は受けた加藤が「強い球はきているし、コースを外れない」とうなるなど直球の質が向上しているようだが、吉見自身はまだ納得していない。「今年はこれでいくと決めた。まだ全然なので、ペースを上げていかないと」と話した。

 森監督からは投手のリーダーと期待される右腕。「そう言ってもらえるのはありがたいこと。ああだこうだ言う人間ではないので、態度で示したい」。昨年のキャンプは手術明けで迎えたが、今年は違う。体に不安はない。“逆弟子入り”の千賀ストレートで、投手王国の再興につなげてみせる。【宮崎えり子】