正遊撃手争いで好アピールした。ロッテ平沢大河内野手(19)が17日、紅白戦の白組(2軍)の「1番遊撃」でフル出場し3安打をマークした。

 3回1死走者なし。カウント2-2からの5球目、平沢は左腕松永の甘めに来た真っすぐに反応した。下半身をくるりと回し、右前に運んだ。「ストライクゾーンの球を見逃していたのは反省です」と、2ボール後に2球続けてストライクを見逃したことは悔やんだが、最後にきっちり仕留めた。

 打球が右前に抜けた瞬間、ベンチにいた山下野手総合兼打撃コーチは、思わず「おっ!」と漏らした。第2クールの中日だった8日、刺激を与えていた。ランチタイムに角中が特打を始めると平沢を呼んだ。「あれぐらい下を使って打ちなさい」。同じ左打者として、昨季の首位打者はこれ以上ない教科書だった。下半身をしっかり使えたから、左腕から右前に強い打球を打てた。

 平沢は「それまでは、どこをポイントに見ればいいか分からなかった」と明かした。助言を受けて角中の打撃を見ることで、目からも学ぶことができた。ただ、こう続けた。「でも、練習することが一番大事」。今キャンプでは1メートル以上ある長尺バットでティー打撃を行い、バットを内から出すことと、下半身を使って打つことを体に染みこませている。取り組みの成果が詰まった一打だった。

 さらに2安打を重ね、計3安打。鈴木の二塁転向に伴い、遊撃のポジションを中村、三木らと競っている。その2人も安打を放つ中、成長している姿を見せた。 伊東監督は「ショート争いは激しい。みんな結果を出している」と喜んだ。平沢は「競争することでチームの底上げができればいい」と願った。他の誰でもない、自分自身が底上げの要因となっている。【古川真弥】