面白いようにバットが空を切る。楽天ドラフト4位の菅原秀投手(22=大体大)が「消える魔球」で開幕1軍をほぼ確実にした。西武との練習試合に同点の7回から登板。先頭から2者連続で空振り三振。味方失策で2死一塁とした直後には、岡田を外角133キロスライダーで空振りに仕留めた。「学生のころから得意のボール。自信があった」と、すべて縦スライダーで手玉に取った。

 イニングが変わっても、勢いは止まらない。8回1死走者なしからは、1発のある山川を迎えたが、カウント1-2から最後は急激に落ちる137キロ縦スライダーで空振り三振に切った。山川が「低いと思う直球も最後にピュッと伸びる。そこにあのスライダー。どうしようもない」と言うほどだった。直球は、7回2死走者なしから自己最速にあと1キロに迫る151キロをマークした。

 2回を無安打無失点4奪三振。ここまで実戦3試合で計5回を投げ、2安打無失点と抜群の安定感を見せている。梨田監督は「すごいね。縦のスライダーは、消えるね。今日の段階では合格」と、開幕1軍入りを示唆した。

 大体大時代は同大の先輩、カブス上原が着けていた「19」を背負うも、2年途中から1年間野球を辞めていた。今年1月上旬にOB会で上原と初対面し、スプリットを伝授された。「技術的なことはもちろん、野球と本気で向き合う大切さを学んだ」。遠回りした分、今はプロでのし上がることしか考えていない。【栗田尚樹】