長泉中の女子エース土屋愉菜(2年)の「春」は惜しくも準決勝で終わった。4試合連続で先発し、吉田中打線に対して7回を被安打3、1失点の力投劇。疲労もみせずに好投したものの、味方打線が2安打に封じられて0-1で惜敗。チーム史上初となる決勝進出を逃した。県内外から多くの報道陣が集まったが、4回まで無安打に抑えるなど、堂々とした投球内容をみせた。

 涙は我慢していた。土屋は「低めには決まっていたが、自分が打たれなければ、負けてなかったのですごく悔しいです」と声をつまらせた。5回表、先頭打者にこの日初安打を許すと、犠打2つで2死三塁。7番松本蓮投手(2年)に対し、本人納得のインコースの直球を投げた-が、中前に運ばれて先制された。それが決勝点。1球に泣いた。

 立ち上がりから好調だった。3回まで2三振を奪い、完全に抑えた。4回に死球で初めて走者を出すが、捕手進士凌大朗主将(2年)が盗塁を刺した。守りに助けられ無安打に抑えた。7回を投げきり、被安打3、1失点と先発の役割を果たした。土屋は「私がダメでも、守ってくれて安心して投げられた」とチームメートに感謝した。

 2月26日の準々決勝(熱海中戦)の活躍が検索サイト「Yahoo!」のトップニュースとなり、この日はテレビ東京や日本テレビ系「Going!」などテレビ局5社、テレビカメラ6台が集まった。観客も普段は保護者ら200人ほどだが、820人の観衆が来場した。大会委員長の杉山肇氏(36=長田南中監督)は「これほど人が来たのは初めて」と驚くほどの雰囲気で、土屋は物おじしなかった。

 土屋 多くの方が来てましたが、緊張せずに投げられた。小学校でやってる女子選手に、中学でも出来ることを伝えたかった。

 重圧のかかる注目された状況でも、エースの役割を果たした。

 今大会は4強で終わったが、すぐに「夏」が始まる。19日からは全日本少年軟式野球大会(8月・横浜スタジアム)を目指し、伊豆ブロック予選に臨む。「次は私がピンチを抑えて流れを変えられる投手になり、全国に行きたいです」と土屋。女子エースの挑戦は続く。【大野祥一】