あのとき越えられなかった高い壁を登ってみせる-。西武との開幕戦にDHで先発出場する日本ハム大谷翔平投手(22)が、札幌ドームで全体練習を行った。相手先発の菊池とは、新人だった13年以来4年ぶりの対決。2三振を喫した前回対戦とは違う姿を見せ、勝利に貢献することを誓った。

 体は大きくなった。実績も積んだ。“あのとき”とは違う。5度目の開幕を3年ぶりに打者で迎える大谷は、新人だった13年を懐かしんだ。「1年目はまったく打てる感じがしなかった。負けていたと思う」。開幕戦で岸から2安打し、華々しいデビューを飾った翌日、花巻東の先輩、西武菊池に2打席2三振とひれ伏した。「明日立ってみて、ボールの見え方だとか、自分の4年間(の成長)を実感すると思う」。4年ぶりの再戦に、特別な感情が湧いた。

 中学時代に甲子園で活躍する菊池にあこがれて、花巻東へ進学。プロとして歩み始めたデビュー第2戦で対戦が実現し、プロのレベルの高さを痛感させられた。昨年8月26日には、大谷が風邪で試合開始直前に欠場し、2度目の対決は幻となった。以降、打者として対戦する機会はなかった。それでも、1安打完封勝利で昨季のリーグ優勝を決めた9・28西武戦で投げ合ったのも菊池。大谷は「唯一の先輩。普通の投手とは違う」と特別な思いを抱く。

 右足首痛の影響で投手としては出遅れているが、打者では圧倒的な存在感を示している。実戦復帰した今月中旬以降、11試合で5本塁打(2軍戦含む)。22本塁打を放った昨年以上に、打球には力強さが備わっている。「(打撃の状態は)まずまず。やることは変わらない。集中してやりたいです」。4年間努力を重ねてきた成果を、あこがれの先輩へとぶつける。

 開幕投手経験者だからこそわかる。先制点がどれほど心強いか。「チーム単位で攻略できる。しっかりとがんばりたいです。ひとりひとりがやることをやれば、必ず勝てる」。大谷のバットが、2017年の開幕を告げる。【本間翼】