ソフトバンク和田毅投手(36)が、ロッテ涌井秀章投手(30)との投げ合いを制した。6回まで両軍無得点の投手戦で、先手は取られたが、8回5安打1失点の力投。チームの逆転勝利を呼び込んだ。昨季15勝5敗で最多勝と勝率第1位の2冠に輝いたサウスポーの快投で、工藤公康監督(53)は就任3年目で初の開幕戦勝利。V奪回へ、エース左腕による会心勝利だ。

 これぞエースの仕事だった。息の詰まるような投手戦で笑ったのは、和田だった。涌井との投げ合いで、7回に先制を許した。「彼(涌井)は尻上がりに良くなるので1点が重くなる。先に点を取られたくないと思っていた」。だが、悔やんだのもつかの間。失点直後から打線はつながり始め、逆転勝利。8回5安打1失点の快投こそ、白星の要因だった。

 内角直球でロッテ打線をえぐった。「今年のホークスは内角を使ってくるぞ」と思わせる狙いがあった。今日1日以降に続く投手陣のため、内角攻めに徹した。懐を突く技術に加え、気迫も満点。7回2死満塁のピンチでは代打井口を空振り三振。珍しくガッツポーズをつくった。

 昨年はチームトップの15勝を挙げた。ただ、9月下旬に左肘を痛め、V逸の責任を痛感。実は昨年2度、侍ジャパンの小久保監督から「WBCどうなんだ?」と出場を“打診”されたことがあった。1度目は9月。左肘が万全ではなかった和田は「年齢的なこともあるし、肘のこともあるので」と、丁重に断りを入れた。2度目は12月。権藤投手コーチから招集への思いを託された小久保監督は再び和田に意思を確認した。だがオフの間に肘を休ませ、開幕に向けて準備していた和田の答えは同じだった。

 「僕がアテネ五輪や第1回WBCに出た時も若かった。僕くらいの球の速さでもっと生きのいい若い左腕はほかにもいっぱいいる。3年後には東京五輪もあるし、先のことを考えたら僕の出る幕じゃない。肘のことを考えたら3月のWBCは不安でした」。日の丸を背負うことを諦め、この日を迎えた。

 「監督からエースと呼んでもらえるのはうれしい。シーズン最後までそう呼ばれるようにしたい」。自身4度目の開幕戦で8年ぶり白星。3勝負けなし。工藤監督就任3年目で初の開幕白星もプレゼントした。だから、和田はエースと呼ばれる。【石橋隆雄】