広島が今季初の同一カード3連勝で7連勝。今季初の単独首位に立った。7回だ。菊池の打球をバレンティンが失策し、同点に追い付くと、クリーンアップの3者連続適時打で一気にヤクルトをのみ込んだ。

 1死一、二塁。3番丸佳浩外野手(27)が一振りで流れを引き寄せた。同点劇に本拠地が真っ赤に揺れる中、打席の丸は冷静だった。「相手もちょっとアップアップな感じだったので、どんどん行こうかなと思っていた」。2番手星とは前日8日に続く、2度目の対戦。前日空振り三振に仕留められた速球が甘くなったのを逃さず、コンパクトに振り抜いた。

 対戦歴の浅い投手にセンター返しは、打撃の基本。3回の先制打は初対戦のオーレンドルフから同じくライナーで中堅を襲ったものだった。「それは基本。今日は投手にしっかり入っていけた」。7回はこの日2本目の教科書のような打撃でチームを勢いづかせると、新井は右へ、鈴木は左へと適時打が続いた。

 今季の丸はベンチでも自然体だ。昨季までは控えめだった感情表現が、今季は誰よりも喜びを爆発させるなど豊かになった。副選手会長として見てきた小窪選手会長の影響がある。丸は「自分のことを考え、チームのことを考える。選手であれば当然のことですが、高校、大学と主将をしていた小窪さんは、その姿勢がすごい。チームのことを考え、行動できる。見習う部分は多い」と言い、言動でもチームをけん引する意識が強まった。

 一気の逆転劇に、緒方監督は「本当に相手のミスで同点に追い付いて、一気の流れる攻撃。昨季のいい状態の攻撃ができた」と選手をたたえた。優勝した昨季の勢いが広島にはある。開幕ダッシュに成功したチームの先頭には、自然体の丸がいる。【前原淳】