今年の守護神は、ひと味違う。首位を走る楽天梨田昌孝監督(63)が10日、守護神・松井裕樹(21)を快進撃の立役者に挙げ、あらためて信頼を寄せた。福島・ヨーク開成山スタジアムで全体練習が行われ、松井裕はノックなど軽めの調整を行った。練習中、ノックボールを右足に当て周囲をひやりとさせる場面があったが、大事には至らず好調をアピール。今日11日の西武戦でのリリーフ登板に、万全の状態で備える。

 最高気温が17度にまで上がった、この日の郡山。春の陽気に誘われるかのように、梨田監督が突然、藤田一也(34)のキャッチボール役を買って出た。「キャンプ以来かな。ボール投げるの」と終始ご機嫌。まるで投手陣の好調ぶりが乗り移ったかのように、黙々とボールを投げ込んだ。

 チーム打率はリーグトップの2割7分2厘。打線がつながる攻撃力が首位独走の要因に映るが、指揮官が分析するのは、むしろ投手力の方。防御率0・00と絶好調の松井裕の安定感だった。

 梨田監督 打線や先発陣の活躍もそうだけど、後ろが安定してきているのが大きい。7回、8回、9回と中継ぎ抑えのところで形ができてきている

 9日のロッテ戦では最終回に登板し、打者3人をぴしゃりと抑え4セーブ目をマークした松井裕。球団史上初となる開幕3カード連続勝ち越しの締め役を演じたばかりだが、ここまで6試合に登板し打者26人と対戦、被安打わずか2で無失点を継続中だ。さらに、四球も3しか与えていない。良くも悪くも荒れ球が持ち味の守護神。昨季は先頭を四球で出し、そこから崩れるケースが多かったが、今季はそれがない。

 指揮官から好調の立役者に挙げられた松井裕は、「今は打線に助けられていて、チームもいい流れに乗れている。これからはもっと投手で勝つ試合を増やしていきたいですね」と、自身は打線を立てた。リードのまま終盤に入れば、登板機会も増えていく。勝利の方程式のラストピースとして、好循環を演出していく。【下田雄一】