ようやく笑顔が戻った。中日アレックス・ゲレーロ内野手(30=ドジャース3A)が、2-2の延長12回2死二、三塁から、宮国の内角に入ってきた142キロ直球を左前に運んだ。この日、5打席無安打だった新助っ人が来日初のサヨナラ打。一塁ベースを踏むと、ベンチから飛び出した同僚に頭をたたかれる手荒い祝福を受けた。

 初のお立ち台に立ち、真っ青に染まったナゴヤドームを一望した。「昇竜デー」と銘打ち、選手と同じ青いグラデーションに竜が描かれた「昇竜ユニホーム」をファンも身にまとっていた。「ここまでチャンスをつぶしていた。最後の最後に打てて、大満足です」。前日13日はシートノック中にボールを右側頭部に当て欠場。心配されたが一撃で吹き飛ばした。

 「自分にとってとても大きな1本。3番という大事な打順の中、走者をかえせず深みにはまっていた。家に戻って叫びたい気持ちのときもあった。寝られないときもあった」。不調により、リラックス法の睡眠が精神の乱れで妨げられた。絶好のボールがきても驚いてしまうほど、打席の中で落ち着きがなかった。6日広島戦以来の打点が復調への兆しとなるはずだ。

 今季12試合で5度目の延長戦。4時間1分の熱闘を制した。先制した試合で勝利するのは今季初。森監督は「あれだけチャンスで打てなかったら本人も悔しい思いをしていただろう。みんなよっぽど野球が好き。最終的に気持ちよく勝てたからよしとしよう」とねぎらった。新大砲もトンネルから抜け出しそう。ここから上昇する。【宮崎えり子】

 ▼ゲレーロが来日初のサヨナラ安打。中日のサヨナラ勝ちは今季初めてだったが、延長戦は4月5、6、8、12日に次いでもう5試合目。2リーグ制後、開幕12試合消化時に延長戦が5試合は57年大映、15年中日、15年広島に並んで最多となった。延長戦のシーズン最多記録は62年巨人の25試合だが、今季の中日は何試合あるか。