故障者続出の日本ハムに新たなスター候補が合流する。2年目の平沼翔太内野手(19)がプロ初昇格することが17日、明らかになった。敦賀気比(福井)時代は、15年センバツでエース兼4番として日本一に輝いた。プロ入り後は遊撃手も、現在は右肩痛のためイースタン・リーグでも指名打者(DH)で出場している。1軍では代打デビューが濃厚だが、結果を残せば故障離脱中の大谷に代わるDH起用の可能性もある。昨年の日本一ながら最下位に低迷するチームの起爆剤として期待される。

 平沼はこの日、2軍の練習には参加しなかった。午前10時すぎに2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷の合宿所をスーツ姿で出て、タクシーに乗り込んだ。今日18日から1軍のオリックス戦が行われる静岡へ向かうためだった。出発前には球団スタッフに「行ってきま~す!」と元気にあいさつしていたという。15年センバツの優勝右腕が、野手として初の1軍昇格のチャンスをつかんだ。

 成長は著しい。今季はここまでイースタン・リーグで15試合に出場し、打率3割2分2厘とリーグ3位の成績を残している。プロ入り後は遊撃手だが、現在は右肩痛のためDHとして出場している。1軍は最下位に低迷中。特に大谷が左太もも肉離れ、中田が右足つけ根を痛めて戦線離脱している打線は、チーム打率2割2分8厘とリーグ5位に沈む。現在32イニング適時打なしと、つながりも欠いている。何より起爆剤がほしい状況にある。

 栗山監督の期待は大きい。移動中の東京駅で取材に応じ、平沼昇格について問われると「(右肩痛で)限られる部分はあるけど、何が自分で大事かは分かっていると思う。打ってください!」とメッセージを送った。投打とも素質が高く、入団時は同監督から「投手の夢をあきらめずに持っておけ。早く上がってこい」と、将来的な二刀流の可能性も示されていた。

 まずは代打でのデビューが濃厚だが、結果を残せば二刀流の大谷が務めていたDHで起用される可能性もある。2年目とはいえ、栗山監督は「思い切ってやってもらいたい。プロに入るのが目標ではなく、プロで活躍するのが目標だと思うから」と、結果を楽しみにしている。

 昨年1月に鎌ケ谷で開催された新入団選手歓迎式典では、約700人のファンの前で「三代目 J Soul Brothers」の「PRIDE」を即興のアカペラで歌いきった。度胸も十分。今度はバットで観客を喜ばせる。【木下大輔】

 ◆平沼翔太(ひらぬま・しょうた)1997年(平9)8月16日生まれ、福井県福井市出身。小学6年から中学まで元阪神の故小林繁さんが総監督を務めたオールスター福井に所属。敦賀気比では春夏3度の甲子園に出場。3年春には全5試合を1人で投げ抜いてチームを北陸勢初の優勝に導くなど、甲子園では通算10勝2敗。15年ドラフト4位で日本ハムに入団し、ルーキーイヤーの昨年は2軍で91試合に出場。打率2割4分3厘、0本塁打、15打点。今季年俸は520万円(推定)。179センチ、78キロ。右投げ左打ち。