原点回帰で1年ぶり5度目の完封勝利を決めた。巨人菅野智之投手(27)がヤクルト打線を3安打に封じ、今季2勝目を挙げた。開幕後は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて習得したチェンジアップを封印。見つめ直した直球とスライダーを軸に凡打の山を築いた。11日広島戦で6回途中で降板した悔しさも今季チーム初の完投勝利で一掃。リーグ一番乗りの初完封勝利で3連勝に導き、被災地・熊本のファンを喜ばせた。

 27個目のアウトも、淡々と奪ってみせた。9回2死一、三塁。菅野は雄平を中飛に打ち取り、頭上で手をたたいた。捕手小林と肩を抱き合い、ようやくほおが緩む。昨年4月13日ヤクルト戦以来の完封勝利を、自身最少の3安打で決めた。「ホッとしてます。素直にうれしいです」と喜んだ。

 シンプルかつ丁寧に攻めた。WBCの前後で自分を見つめ直した成果だった。世界との戦いを見据え投球の幅を広げようと、球速が遅い、落ちる球で緩急をつけるべくチェンジアップをオフに習得。WBC準決勝で敗退後、長いシーズンを戦い抜いて日本一になるには何が必要なのか熟考した。「チェンジアップは投げない。興味はないです。真っすぐとスライダーをきっちり投げられれば抑えられる。基本に返るって感じですね」。導き出した答えが新球を封印しての原点回帰だった。