広島鈴木誠也外野手(22)が、開幕2戦目4月1日阪神戦(マツダスタジアム)以来17試合ぶりとなる2号ソロを神宮の夜空に打ち上げた。一時は1点差と迫る1発も、打線がつながらずヤクルトに惜敗。3連敗となったチームで、7試合ぶりのマルチ安打と気を吐いた。不満顔が続いていた鈴木にも、手応えはあった。今日こそ連敗を止める。

 外、内、外、そして外。2点を追う5回。2打席目の鈴木は丁寧に両サイドを突くヤクルト石川が投じた4球目の外角低め真っすぐに、体を開かないまま始動した。やや重心が投手側に傾きながら左腰も左肩も開かなかったことで、インパクトの瞬間のヘッドターンに力が加わった。神宮の夜空に高々と舞い上がった打球は左翼スタンド最前列に届いた。開幕2戦目の4月1日阪神戦以来となる17試合ぶりの今季2号。

 「しっかり振れたと思います。ああいうバッティングは自分のバロメーターになる」

 2回の第1打席も安打を記録した。フルカウントから内角カットボールに詰まりながらも、遊撃後方に落とした。5回の本塁打も含めた結果以上に、打撃内容に手応えがあった。7回の打席も左翼ポール左に際どいファウルと、フェンス手前ギリギリの左飛で石川をヒヤリとさせた。

 7試合ぶりのマルチ安打で打率は3割3分3厘に浮上。2本塁打、12打点の成績は3、4月度の月間MVP候補だ。だが、本人の中に確かな手応えはまだない。「何で結果が出ているのか疑問なので、とにかく必死なんです」。本音だ。好結果を残しても、打撃練習時の表情は納得していない。不満そうな表情が目立った。本拠地試合の日には全体練習前の早出特打を行うのは日課。遠征先でも若手選手に課せられる宿舎での素振りにも毎日参加する。この日の試合中にはベンチでチャートを熱心に読み返す姿も見られた。

 打線はつながらずチームは3連敗。緒方監督は「明日またしっかりやるだけ」と前を向く。敗戦後すでに明日の戦いに目を向けた鈴木の表情には自信が感じられた。成績と感覚のギャップを埋めようとやってきたことがようやく埋まりつつある。潮目が変わる予感はある。【前原淳】