阪神金本知憲監督(49)が打線の底上げに動いた。26日のDeNA戦は雨天中止。甲子園の室内練習場で行われたフリー打撃で、13打席連続ノーヒット中の高山俊外野手(24)に緊急アドバイスを送った。前日25日は今季初の完封負け。貧打が深刻化する前に、指揮官自ら高山に提言した。

 金本監督が、悩める新人王の再生に動いた。フリー打撃に取り組む高山をケージ裏から熱心に見つめて、片岡打撃コーチと話し込む。そして言葉を投げかけた。「自然体で構えたら、どうだ?」。2年目の飛躍が期待されている男に、緊急アドバイスを送った。

 前日25日には、今季初めて完封負けを喫した。打線全体が下降線で、若手クラスに元気がない。高山も開幕直後から精彩を欠き、13打席連続で凡退中。今季はすでに2度スタメン落ちを経験し、打率は2割4分7厘まで降下した。「後ろ(左)の肘が開き過ぎていた。不自然に感じた。もしかしたら、それが(バットが)波打っている、下から出ている原因かな」。高山の構えに違和感を覚え、指揮官は自らの考えを伝えた。

 金本監督は、安易に打撃フォームにメスを入れる考えはなかった。プロ2年目の高山に対しても、「悩みなさい」と試行錯誤する大事さを説いていた。この日も「試してみたら? ということ。本人がどう感じたかは分からない。『こうしろ』というのは、あまり言えない」。苦境を自らの力ではい上がってほしい気持ちがある。その参考になればという思いが、指揮官を動かした。

 打線の停滞は、打者にだけ責任があるとは思っていない。前夜のルーキー浜口のように、今季は力のある投手が多いことを金本監督は実感している。「今年はセ・リーグのピッチャー、いいよ。広島もそうだし。(中日の)ジョーダンもバルデスもよかった。みんな、球が強い。ヤクルトも中継ぎがいい。みんな、力がある」。打者にとっては厳しい環境ではあるが、それを打ち破ってほしい。「去年、経験を積んだ若い選手がね。経験を生かして、去年より絶対、進歩してほしい」。ピンチをチャンスに変えて、成長することを期待した。【田口真一郎】