楽天の守護神・松井裕樹(21)が、借りを返す自己最速の10セーブ目を挙げた。4月30日の日本ハム戦で2-1の9回に登板。前日29日の9回に痛恨のサヨナラ打を浴びた6番田中賢介内野手(35)を三邪飛に仕留めるなど、3者凡退で締めた。4月だけで両リーグ最多に並ぶ10セーブをマーク。抑え転向3年目の左腕が、首位を走る楽天を大きく支える。

 いつもと違う気合がみなぎっていた。松井裕が言った。「本当に引きずっていてもしょうがない。今日、これでやられてしまったら何の意味もない」。日本ハムの4番中田を遊ゴロ、5番レアードを中飛、6番田中賢を三邪飛に封じた。自己最速の10セーブ目はソフトバンクのサファテ、阪神ドリスに並ぶ両リーグ最多。「翌日に取り返せたのが気分的に楽になる」と笑顔も見せた。

 前日4月29日。9回にレアード、田中賢に連打を浴びてサヨナラ負けした。今季初失点も記録した。その日、捕手の嶋が腰痛で登録を抹消されていた。その嶋から「明日、頑張れ」と激励の連絡を受けた。「嶋さんがいなくて2試合連続で負けたら、何を言われるか分からないし」。危機感を逆に大きな力にした。

 梨田監督は「同じような打線を抑えてくれた」と、リベンジ成功をたたえる。松井裕は3月31日のオリックスとの開幕戦で白星を挙げ、4月は20試合で15試合に登板した。イニングまたぎもこなして、ほぼフル回転で首位快走を支えた。今季はチェンジアップを効果的に使って、カウントを悪くしてもストライクを取れるのが大きな強みだ。

 4月は抑え転向1年目の15年が5セーブ、16年は6セーブ。楽天はまだ21試合を消化しただけで、守護神が目標にする40セーブが可能なスピードで2桁に到達した。「これから接戦が多くなる。試合に投げられる喜びを球に表していかないといけない。セーブを失敗しないように」と気を引き締めた。2ゲーム差の2位オリックスと、明日2日から本拠で首位攻防3連戦。月が替わっても、勢いを継続する。【久野朗】