広島新井貴浩内野手(40)が8回、代打決勝打を放った。後輩たちが何度も追い付き、最後の最後で登場。22歳西川の1発で追いついた8回1死二塁。「強引にならないようにセンター中心に」と三ツ間の外寄りの真っすぐを捉えた。右翼平田の頭上の襲う適時二塁打だ。二転三転のルーズベルトゲームを、ベテランが締めくくった。

 「見ていて刺激というか、うれしかった。みんなすごいなと準備しながら思っていた。声援? すごく聞こえていたし、喜ばせたいと思った」

 先発から外れ、一塁側ベンチから戦況を見守った。スタメン9人の平均年齢は25・6歳。そんな後輩たちが4点を先制される展開から同点に持ち込んだ。頼もしく感じ、出番を待った。

 ともにチームを引っ張った黒田が引退し、今季はチーム最年長となった。若手を積極的に食事に誘う回数は増えた。シーズンに向けた話やチームの将来、ふざけた話も当然ある。この日新井に代わり一塁で先発した安部は「あれだけ上の選手が僕らのことを考えて、いろいろ話してくれる。チームとして同じ方向を向いて戦わないといけない」とうなずく。ベテランの存在がチームをまとめている。

 先発全員安打の試合で代打が決勝打。緒方監督は「1つの顔の打線ではいこうと思っていない。2つ目の顔となる打線を作っていけば、シーズン通していい戦いができると思う。そういった意味で新井が最後にすごい一打を放ってくれて、頼もしい存在だね」と新打線に手応えをつかんだ。いよいよコイの季節で、5月は無傷の3連勝。今日5日から2位阪神が待つ甲子園に乗り込む。【前原淳】