巨人に2連敗で迎えたカード3戦目。ラミレス監督が抜本的に打順変更を敢行したのは、梶谷の数字を踏まえたからだった。試合前で2割5分3厘の打率が、得点圏では1割5分を切った。「2番で自由に打たせたい」という指揮官の狙いが見事にはまった。実際に得点圏ではない第2打席で本塁打、第4打席で左翼前安打。反対に走者二塁の第3打席では空振り三振。欲を出さず投手に集中した状況こそ力を発揮している。

 Aクラス浮上を目指しながらグラウンド外では、肉体との闘いも続けている。シーズンを終えると、10キロ以上体重が落ちる体質で、毎シーズン開幕前に体重を大幅に増やす。一昨年オフはどら焼きを食べ、昨オフは高タンパク質を含むギリシャヨーグルトを毎朝食べるなど、食生活を工夫。91キロの肉体で開幕を迎えたが、すでに4キロ減って「代謝が良すぎるのも大変」と、試行錯誤を続けながら6本の本塁打を積み重ねた。

 単独トップに「マジ今だけ」と本塁打王への欲はないが「連敗を止めるために追加点を挙げられたことがうれしい」。勝利への意欲だけが梶谷を突き動かしている。【栗田成芳】