鯉の季節だ5月3連勝だ。6番三塁で出場した広島西川龍馬内野手(22)が8回、逆転を呼ぶ2号同点ソロ。代打新井貴浩内野手(40)の決勝打を呼び込んだ。4回にも適時二塁打を決めた。この日のスタメン平均年齢は25・7歳。ヤングカープの象徴西川が、価値ある1発を含む2安打2打点2得点で輝きを放った。

 1点ビハインドの終盤8回でも、22歳の若鯉、西川に焦りはなかった。冷静に、集中力を持って三ツ間に対した。カウント2-2となっても3球ファウルで粘り、1つのボール球を挟んで、2球ファウルで粘った。「はっきりしたボール球がなかった。ある程度まとまっていたので、そろそろ内の真っすぐが来るかなと」。懐に来た獲物を完璧に捉えた。鋭い弾道は、右翼席へ一直線。その後、新井の代打決勝打を呼び込んだ。

 「結構完璧に近い打球だったんじゃないかなと。今日のは特別気持ち良かった。終盤1点負けている場面。塁に出ようと思いましたが、まさか本塁打になるとは思っていなかったです」

 平均年齢25・7歳のオーダー。期待を込めて6番で先発起用された。「打順は意識していない」と言いながら、4回に又吉から適時二塁打を放ち、2本の長打をマーク。2つの凡打もしっかり捉えていた。限られた出場機会の中でスイング量を増やし、ようやく打撃の感覚が戻りつつある。

 オープン戦期間中に「右膝の骨挫傷」で離脱。打撃再開時には「打撃投手の球が速く感じる。差される」と苦笑いしていた。急ピッチで1軍昇格。4月23日ヤクルト戦で、今季初打席&初スイングで決勝打を放っても「まだ感覚にずれがある」と首をひねっていた。

 一方で、オフに肉体改造した体重の減量は食い止めた。下半身を使ったトレーニングができない期間は、憤りをベンチプレスやダンベルにぶつけたことで、練習量が落ちても筋力は落ちなかった。体重は変わらず最重量の74キロを維持。「オフに体をちょっとデカくしようと取り組んで、その成果がちょっとは出ているんじゃないかな」。4月30日DeNA戦のプロ初本塁打から出場6打席目の第2号が貴重な同点弾となった。

 先発全員安打の中でもキラリと光る存在に、緒方監督は「打撃内容がものすごくいい。どんどん打席に立たせたい。試合に使ってみたい選手」とうなずいた。西川が刺激する高い競争意識が、チームをより高みに導く。【前原淳】