楽天の聖沢諒外野手(31)が、3安打2打点で勝利を呼び込んだ。6日の西武戦に「6番・左翼」で4月5日のソフトバンク戦以来、約1カ月ぶりのスタメン出場。1点先制した初回の第1打席で、1死満塁から左越え2点二塁打を放ってチームを勢いに乗せた。13年の日本一を知るプロ10年目が、ここ一番での勝負強さを見せつけた。首位楽天は今季両リーグ最多の20安打で10-2と大勝。2位ソフトバンクとのゲーム差を今季最大の3・5に広げた。

 約1カ月ぶりのスタメン起用に、聖沢がいきなり力を発揮した。初回に追加点となる2点二塁打は、一挙5点のビッグイニングをもたらす一打。「久々のスタメンで結果を出したいと思っていた。チャンスが1打席目で回ってきて、最高の結果を出すことができた」と素直に喜んだ。

 不振の4番アマダーが外れ、右翼を守る2番ペゲーロが指名打者になった。外野の枠が1つ空いて、出番が来た。控えの約1カ月間は代打や代走、守備固め。それでもまったく腐らない。「アピールするとか、そういう気持ちはなくて。チームが厳しい状況でも結果を出さなきゃいけない」。役割を心得ている。

 7回無死一塁からはセーフティーバントが内野安打となり、今季初のマルチ安打を記録した。8回には中前に運んで猛打賞。この日3番での起用を考えたという池山チーフコーチは「聖沢は楽な打順で打たせた方が結果が出るのではないか」と、6番にした理由を明かした。思惑通りの活躍に梨田監督は「非常に貢献してくれた」と手放しで褒めた。

 13年に120試合に出場してパ・リーグ制覇、日本一に貢献した。それが若手の台頭などで、14年以降の出場は100試合を割った。葛藤はあったというが、起用は監督が決めることと考え直した。「外野のレギュラーはペゲーロ、島内、岡島。結果を出しているんだから文句は言えない」。たとえスタメンを外れても、外野の4番手として静かにその時を待つ。

 もっとも出場すれば“仕事人”として結果を残す。4月17日の日本ハム戦は、延長10回に代打でサヨナラ打。5月3日のオリックス戦では、左翼の守備で左中間の大飛球をフェンスに激突しながら好捕した。「(外野陣が)1年通していい状態で出られるとは限らない。穴を埋めたい」。首位を快走する楽天には、頼もしい男がいる。【久野朗】