主将の一振りが完全に流れを引き寄せた。阪神1点リードの8回。福留が5号ソロを放ち、勝利をグッとたぐり寄せた。カウント1-2から、井納の真ん中高め、146キロ直球を振り抜いた。打球は放物線を描き、右翼席に到達した。「これまでの打席も悪い感覚じゃなかった。自分を信じてじゃないけど、思い切って打てたのでよかった」。3打席目までは凡退。だがここぞの勝負どころで、4番の仕事を果たした。

 先発したメッセンジャーが7回を1失点でまとめる好投。被安打9を許すも、気持ちの入った粘り強い投球でゲームを作った。「メッセがあれだけ頑張って投げていたので野手として援護してあげたかった」。胸に「Cマーク」を掲げる40歳の主将。何としても援護したい思いで放った一撃だった。

 チームは10日の巨人戦に敗れ、連勝は6でストップ。だが敗戦後は、しっかり切り替えていた。「負けてから1日空いて、気分も変えて。しっかり勝てたので大きいと思う」。今季5本目、福留が本塁打を放った試合はすべて勝利している。再び王手の2桁貯金も、頼れる主将のバットが届けてくれそうだ。【真柴健】