慶大が明大に連勝し、最速で勝ち点を3とし、首位に立った。リーグ戦初先発の菊地恭志郎投手(3年=慶応志木)が、6安打5奪三振で今季初勝利を完封でマーク。優勝の可能性を残して、最終週の早大戦を残すのみとなった。立大は早大にサヨナラ勝ちで1勝1敗とし、勝負を3回戦に持ち込んだ。

 右腕で夢見た舞台をぐっと引き寄せた。慶大・菊地は初めて任された先発で、最後までマウンドを守り切った。スコアボードには9つのゼロ。「1回の初球から投げる責任感、ゲームをつくる責任感で朝から緊張してました。1人、1人の打者と勝負した結果です」。リーグ2連覇中の明大打線を6安打で完封した。

 ピンチはあった。9回、先頭から連打されると併殺でしのいだ。最後は2死満塁で右飛に。フォーク中心に5三振を奪いながら、のらりくらりと完投した。球速は140キロ前後。高校時代の最高成績は夏の埼玉大会32強。サラブレッドじゃない。が、やればできる。大久保秀昭監督(47)も「めちゃくちゃ頑張ったでしょ。持ってるもの全て出し切ったんじゃないですか?」と手放しでたたえた。

 忘れられない景色がある。1年春の早大戦。両校ともに優勝の可能性を残して迎えた天王山は、観客であふれていた。「外野は立ち見。外まで長蛇の列。あんなに人が入るアマチュア野球は早慶戦しかないと思う。そこで投げたい。ずっと憧れでした」。今日16日に早大が立大に勝てば“あの春”以来の、両校が天皇杯をかけた早慶戦が実現する。当時は連敗をスタンドで見届けた。次はマウンドで勝利を-。まだ道はつながっている。【鎌田良美】