中日鈴木翔太投手(21)に試練が訪れた。初回に3ラン、5回には2死からの連続四球で試合を壊すきっかけを作った。1週間前にプロ初勝利を挙げ、飛躍を期待される中、首脳陣から失望の声が相次いだ。

 「ああいう投球をされるとミスも出るよ。先頭を三振にとって、そのあとストレートの四球じゃあ…」と森監督はため息まじりに話した。無理もない。初回。1死から大和にストレートの四球。不穏な流れを決定づけるように、一塁ビシエドが緩い打球を後逸した。2死後、中谷に左越え3ランを浴びた。フォークが真ん中に入った。「失投です。ボール球のつもりで、投げきらなければならなかった」。

 友利投手コーチは21歳右腕の立ち姿を問題視した。「マウンドで笑っているようではダメでしょ。そういうところがスキになる」。中谷の本塁打を浴びる1球前、抜けた球を大ファウルされていた。直後の痛恨弾だけに厳しい見方をされても仕方なかった。

 1点を返し、2点差とした直後の5回。流れを引き寄せたい大事な守りでも失望させた。先頭に中前打されたが三振と盗塁刺で2死走者なし。だが、そこから2四球。試合前ミーティングでは2死からの与四球などの注意喚起があった。「やるなってことをやるので、悩ましい」と同コーチ。責任回数を目前にベンチは降板を命じた。

 2番手アラウホが2死満塁で糸原に3点二塁打され、一方的な展開に持ち込まれた。先発として大敗の責任を負うべき背信。初勝利の喜びから一転、鈴木が厳しい立場に置かれた。【柏原誠】