「花火ナイト」の主役は内川だ! 同点の7回、ソフトバンク内川聖一外野手(34)が左翼へ決勝の7号ソロ。5回裏終了後に打ち上げられた花火の煙を頭にかざすポーズの“御利益”もあってか、千金弾が飛び出した。貯金は再び今季最多タイの10。試合のなかった首位楽天と勝ち星25で並び、ゲーム差も3に縮めた。

 内川が神戸の夜空にアーチをかけた。2-2で迎えた7回2死から吉田一の高めスライダーを左翼スタンドに運ぶ決勝の7号ソロ。9日オリックス戦以来、7試合ぶりの1発に、いつも以上に喜びを爆発させた。

 「欲を言えば(同学年の先発)摂津に勝ちを付けたかったが、いい1本が打ててよかった。それまでチャンスで打てていなかったので、何とかしたい思いが強かった」

 この日の先発は、今季4試合目の登板で初勝利を目指していた摂津だった。「僕がホークスに来る前から、中継ぎ、先発でずっと頑張っている選手。そういうヤツが頑張っている姿を見て何とかしたい気持ちだった」。チャンスで回ってきた3回と5回は、適時二塁打の柳田に続くことができなかった。だが次の打席で4番の役割を果たした。

 予感はあった。5回終了時に球場で花火が打ち上げられると、内川もチームメートとともにベンチ前で花火を観賞。そしてお寺で線香の煙を頭にかざすようなしぐさで花火の煙を両手ですくい、頭や肩にかけるポーズを何度も繰り返した。その御利益もあり? 直後の7回の打席で、今度は自ら大きな花火を打ち上げた。

 試合後、内川は摂津に「(勝ち星が付かず)悪かったな」と声をかけ、「全然気にしてないよ」と労われた。チームの勝利を願う34歳同士の固い絆が引き寄せた勝利だった。

 これで5月は11勝3敗。今カードは初戦を落としたが、その後2連勝し、今季8度目のカード勝ち越し。最近7カード連続で負け越しがない。工藤監督も「絶対に勝つという気持ち、強さが出てきている」と、チームの底力に目を細めた。【福岡吉央】