2週連続のサヨナラ勝ちフライデーだ。ロッテ清田育宏外野手(31)が同点の9回2死二、三塁、劇的な左翼フェンス直撃打で接戦に終止符を打った。3安打1打点2得点と猛打賞の活躍で、今季最多13安打の猛打をけん引。46試合目で34試合ぶりにチーム打率を2割台に乗せた。8連敗を止めた前週19日に続き、エース涌井秀章投手(30)の登板日に打線が意地を見せた。

 9回2死二塁、三塁。ロッテ清田は右手で左肩をトントンとたたいた。「開くな」。自らに言い聞かせた。2球目の150キロをファウルする。オリックス平野が直球でカウントを取りに来ると見るやいなや、続く内角150キロを巧みに左翼後方へ。サヨナラを確信し、拳を握りしめて走った。

 「カシャンって音がなった時は、入ってくれよって思いましたけど」。ヒーローインタビューで笑って見せた。本塁打だったら最高だった。現実はそこまでうまくはいかなかった。が、チームとして4月13日以来の2連勝を決めた手応えは、やっぱりしびれた。

 初回に左前打、3回には左中間二塁打。2度目の猛打賞で、チームの今季最多13安打を引っ張った。一時は絶不調。4月9日から5月3日までは無安打だった。復調の背景には、戦列を離れているベテランの助言がある。右太もも裏の張りのため、21日に登録を抹消された福浦が気付きをくれた。「福浦さんに『投手側の肩を開いちゃダメだ』と言われて、そこから良くなってきました」。打席に入るたび、左肩に意識付けしている。

 ちょうど1週間前の19日、8連敗を止めた夜もサヨナラ勝ちだった。エース涌井の力投に、流れが変わった。この日、涌井は7回に4点のリードを追いつかれた。清田は言う。「ワクだって打たれる時がある。ワクに負けがつかなかったことが良かった」。全員が涌井を援護したかったし、全員が勝ちたかった。一丸となった思いが、チーム打率をついに2割台に到達させた。涌井が粘り、救援の内に白星が付き、今季2度目のサヨナラ勝ち。歓喜の前に同じドラマがあった。ドラマの続きは今日27日。今季初の3連勝をつかむ。【鎌田良美】