初めて中4日で登板した広島薮田だったが、1回は明らかに普段とは違っていた。いつもよりも立ち投げになって、体重が前に乗ってこない感じだった。

 経験のない中4日での登板だとどうしても疲れが残っていたり、体の張りだったりとコンディションが違う。そこで自分の体の反応を考え、探りながら試合に入っていってしまうのだが、そうすると自分のリズムが崩れ、調子を取り戻せないことが多い。ギアを上げたいときに上がらない感じになるのだ。

 先発投手は長い回を投げなければ、と考えるのが当然だからそうなるのだが、経験から言えば、中4日で投げるなら普段以上に初回から上げていく、リリーフで投げるぐらいのつもりでいく方が、逆に体がなじんでいくケースが多い。

 ボクも米国に行って中4日で投げるようになったとき、慣れるまで怖かったので気持ちは分かる。前回登板では5イニングしか投げていない薮田だが、それは関係ない。先発としてマウンドに立てばアドレナリンも出るし、同じことだ。

 だから大事なところでギアが入らなかった、とは思いたくないが、痛かったのは5回に先頭打者のウィーランドを歩かせ、失点につながったことだ。ウィーランドの打撃がいいのは十分、分かっており、慎重になったのだろうがここはヒットでもよかったぐらいだ。

 薮田も最初、ノーワインドアップだったのが途中でセットポジションにしたり工夫はしたが、この回はもったいなかった。

 それにしてもDeNAの継投が決まった。ワンポイントで代えたと思えば今永を2イニング投げさせ、メリハリがついている。広島打線は打てなかったというより、この継投策にはぐらかされたような印象だ。ラミレス監督が経験で培ってきた短期決戦の戦い方なのだろうが、それがはまっている。

 3連敗となった広島は、王手をかけられた。追い込まれた形になったのは間違いない。だが短期決戦は、1ピッチ、1ヒット、1プレーで流れが変わるものだ。この日の敗戦も誰が打たれた、誰が打てない、ということではなく、チームとして負けたのだから、もう1度切り替えて、チームとして戦って勝ってほしい。

 今まで以上に一丸となり、集中していけば、広島にはホームアドバンテージもあり、まだまだチャンスはあると感じている。(元広島投手)