社会人のクラブチームでプレーしていた沼田拓巳投手(19)が日本野球連盟から除名処分となった。同連盟は「過去に例がなく、厳罰をもって再発防止を図る」ため、最も重い処分とした。日本のプロ球団が本来獲得できない状況の選手が、周囲に明かさず契約まで進めたことが背景にあるとみられる。

 社会人選手はプロとの両方に所属する状態を回避するため、プロ球団との契約日以前に登録を抹消することが義務付けられている。過去に大リーグ球団入りした選手はいずれも登録抹消後に契約した。

 同連盟は本人への聞き取りができていないため、沼田投手がこの規定を知っていたかは定かではない。しかしクラブ側は「交渉や契約は知らされていなかった」と説明した。入団交渉する際は代表者の了解を得るというルールも守られていなかった。

 普段から日本で活動している大リーグのスカウトが規定を知らなかった可能性も低い。同連盟の崎坂徳明事務局長は「これを前例にはしたくない。(選手と球団の)お互いが正しい手順を踏んでほしい」と訴えている。