<オープン戦:巨人1-1阪神>◇17日◇東京ドーム

 ニュー球児が圧巻の満塁斬りだ!

 阪神が誇る鉄壁リリーバートリオのJFKが17日、巨人とのオープン戦(東京ドーム)で今季初めてそろい踏みした。3人の最後、8回に登板した藤川球児投手(27)は同点の1死満塁の大ピンチにも動じず、後続をフォークで連続三振。今季から武器にと完全習得に取り組む“新球”が厳しい場面で威力を発揮した。初登板のジェフ・ウィリアムス投手(35)は最速151キロをマークするなど3者凡退の好発進。久保田智之投手(27)も打たれながら1失点で、ライバル巨人に「JFK」のすごみを見せつけた。

 藤川はマウンドから打者を見下ろしていた。同点に追いついた直後の8回裏に登板。1死満塁のピンチを招いたが、まるで動じることはなかった。「フォークで勝負する」。三塁に走者を置いた場面では、暴投とも背中合わせの“危険球”。制球力が求められる状況で藤川は自信を持って、ためらうことなく投じた。

 藤川「ピンチと思っていなかったですから。(フォークの軌道は)そこはもともと大丈夫。点を取られるとは思っていなかったです」。

 昨季日本タイ記録の46セーブをマークした守護神は涼しい顔で言い放った。トレードマークの速球でカウントを整え、フォークで勝負する。速球を決め球にしていた、昨季までとは違うパターンだ。古城を速球で追い込むと、フォークで空振り三振に料理。鈴木尚にも同じ球で空を切らせた。岡田監督も「あそこは狙って三振を取りにいってたな」と感心しきり。試合終盤の満塁機で「テスト」を行うところにも、藤川のすごみがにじみでる。

 2月の沖縄・宜野座春季キャンプでは「フォークの神様」の異名をとる杉下茂氏(野球評論家)に直伝された。実戦で投げ込み、入念に軌道のチェックなどを行ってきたが、ここにきて完成度の高さを示した。

 中西投手コーチ「今日もいい感じで投げられたんじゃないか。満塁の場面で投げられるんだから、十分に使えるだろうな」。

 投手陣の柱としての自覚が、藤川を突き動かす。安芸春季キャンプ最終日の2月28日には「全員の足並みがそろえば開幕ダッシュを切れる。03年の優勝くらいにね」と話していた。この日は先発福原が5回無失点の好投。16日の巨人戦でも先発候補の岩田と杉山が0封リレーしていた。ハイレベルな開幕ローテーション争い。藤川もブルペンから手応えを感じ取る。

 藤川「先発があれだけ頑張ってくれている。久保田とも話していたけど『逆に自分たちも負けないようにしないと』って。そう思ってやっている。相乗効果になればいいと思います」。

 ぶっちぎりの優勝を実現するためにも、絶対的な存在としてマウンドに立ち続ける。シビれる状況でも冷静にG打線を圧倒した。

 それでもなお「同一リーグだから出せないところもありました」という。まずは相手に有形無形の脅威を与える「神様フォーク」は披露した。まだあるのか。ニュー球児の正体は奥が深い。【酒井俊作】